ラスト・クリスマス

ラスト・クリスマス [Blu-ray]

 

 

こちらが、あらすじ。

1984年の発売以降、クリスマスの定番ソングとして全世界で愛されている「ワム!」の「ラスト・クリスマス」をモチーフに、「ゲーム・オブ・スローンズ」のエミリア・クラークと「クレイジー・リッチ!」のヘンリー・ゴールディング主演で描いたロマンチックコメディ。ロンドンのクリスマスショップで働くケイト。華やかな店内で妖精エルフのコスチュームに身をまとうケイトは仕事に身が入らず、乱れがちな生活を送っていた。そんなある日、ケイトの前に不思議な青年トム現れる。トムはケイトが抱えるさまざまな問題を見抜き、彼女に答えを導き出してくれた。そんなトムにケイトは心をときめかせるが、2人の距離は一向に縮まることはなかった。やがてケイトはトムの真実を知ることとなるが……。脚本は「いつか晴れた日」でアカデミー脚色賞を受賞し、女優として本作にも出演するエマ・トンプソン。監督は「シンプル・フェイバー」のポール・フェイグ

2019年製作/103分/G/アメリ
原題:Last Christmas

  

以上、映画ドットコムより。

 

おススメ度の部分を、クリスマスカラーでカラーリングしてみました。

 

映画のネタバレについて書いていますのでご注意ください。

 

ここ数年、あまり興味の無いジャンルも鑑賞しようと思い立ち、ホラーを見るようになったのですが、最後まで敬遠していたのが、ロマンスコメディや、ラブストーリーのジャンルでした。

 

映画館の予告編で、ワム!ラストクリスマスが流れる、ロマンス映画、内心「これは私に向けている映画じゃないな。」と思いスルーしたのですが、今回DVDで鑑賞してみて、私の眼は節穴だったと思った次第です。

 

とても、良い映画だったなぁとしみじみ思いましたよ。

 

歌手志望の主人公ケイトが、まぁいい加減な人間で、仕事中も心ここにあらずだし、部屋を追い出されて泊めてくれた友達の家でも、ドライヤーを付けた状態で水槽に落としてしまい、停電。

 

マッチ棒で作成した大型船をタバコに火をつけたマッチで全焼させるなど、うっかりで済まないミスの連発で正直、ケイトに対して感情移入が出来ずにいたのですが、鑑賞していくと、だんだん魅力的になる構成が良かったです。

 

私の映画のツボで、価値観が180度展開する瞬間というか、『全く共感出来ない主人公が、ある瞬間を境にとても魅力的で応援したくなる。』という展開が、もう大好きなこともあるので、それを見れただけで、内心「これは、良い映画だな。」と思いましたね。

 

相手役のトムも、嫌みが無い好青年で、ケイトと合う度に新しい視点を伝えていくことで、ケイトも成長していくのですが、携帯電話はあるけど、家の棚に置いてあるからと言って持ち歩かなかったり、トムからは会うけど、ケイトからは会えなかったり、ミステリアスな存在な訳です。

 

 

映画を見ていくと、ケイトが何故心ここにあらずというか、自暴自棄になっているかという理由が解明されていて、過去に心臓移植によって命を取り留めた経験があって、特別でないと存在価値が無いのではないか、という葛藤から来るものだったというのが分かると、納得するというか、当たり前ですが、人それぞれ、色々な問題を抱えて生きているということに気が付く訳ですよ。

 

そんな時にトムが表れて、「特別じゃ無くていい、普通で良いんだ。」とケイトに伝えるシーンがね、涙が出そうになりましたよ。

 

決め打ちで喋るのでは無くて、ケイトの話を聞いてその上で相手の気持ちを尊重して、言葉を伝えることで、その言葉に薄っぺらさが無くて本当に格好いい。

 

トム、あんた、本当に格好良いぜ!!

 

そこから、ケイトが持ち前の行動力でホームレス支援のボランティアだったり、冷え切った家族関係に向き合うのですが、そこからこの映画の推進力が上がっていきます。

 

干渉してくる母親を毛嫌いしながらも、ケイトが歌う事に興味を持つきっかけが、母親が寝る時に子守唄を歌ったりすることだったりと、この映画はさりげない演出がされているので、そこも良かったです。

 

ある時を境に、トムがぱったりとケイトの前から消えるのですが、トムの部屋にケイトが訪ねた時に、不動産屋と鉢合わせをして、そこでトムが交通事故で亡くなっていること、ケイトの心臓のドナーになっている事を知ることになるのです。

 

トムは、ゴーストだった訳です。

 

多分、見ていく内に予想が付くようには作成していると感じます。

あくまでも、この映画の肝はケイトの成長だと思うので、トムがゴーストだったよりも、ケイトがトムの言葉に耳を傾けて行動を移すことで、現状を打破していくのが格好良いし、苦しい時にこそ、相手に親切にすることが大事だなと感じました。

 

舞台はイギリスのロンドンなのですが、多様性の描き方が自然だったり、バスの中で英語以外の言語で喋ると、英語を話せ!!とブチギレる現地の人間がいたり(ケイトがさりげない、ナイスフォロー)イギリスの問題が提示されていたりと、楽しめました。

 

ただ、序盤でのケイトの振る舞いが、私的に乗れなかったという、器の小さい理由でおススメ度は92になりました。

 

本当に、クリスマスシーズン以外でも楽しめる映画ですので、ぜひ興味ありましたら、ご覧ください。