おススメ度 81
見終わった感想は、「悪く無い、だからこそ、惜しい!!」
と思いました。
あらすじはこちら。
CIAの豪腕エージェントJJはあるミッションでド派手に暴れすぎたことが問題となり、経験未熟な同僚ボビーと地味な監視の任務にまわされることに。ターゲットはテロリスト、マルケスの義姉ケイトとその娘ソフィ。ふたりが暮らすアパートにカメラを仕掛け退屈な監視がスタートするが、9歳ながら頭の回転が速いソフィにカメラを見つけられ、監視部屋まで発見される始末。ソフィは内緒にする代わりに、JJにスパイのレッスンや学校のイベントへの参加をお願いする。孤独なスパイ生活をしていたJJはソフィと過ごすうちに、今まで経験したことのない感情をもちはじめる。しかし、その時テロリストの一味がやってきて、ソフィを連れ去ってしまう・・・。
以上、Filmarks映画情報より。
映画の感想を書く前に、WWEと私についての前置きの文章が続きますので、少々お付き合いいただければと思います。
デイブ・バウティスタが、バティスタというリングネームでアメリカのプロレス団体、WWEで活躍していた時に、ケーブルテレビでWWEのテレビマッチや、レッスルマニアのDVDを見ていた時期があったので、今の活躍を見ると嬉しく思う訳です。
当時は、ドゥエイン・ジョンソンがザ・ロックのリングネームで、スター選手として活躍しているのに比べて、どちらかと言えば、職人肌というか、いぶし銀のような輝きを持つ選手というイメージでした。
その後、両者とも俳優の道に進んで、ドゥエイン・ジョンソンが家族で楽しめる映画の主演を演じる一方、デイブ・バウティスタは、ガーディアン・オブ・ギャラクシーのドラックス役の他に、007シリーズのスペクターでの悪役や、ブレードランナー2049の冒頭で出て来る人造人間役など、脇役でありながらも、印象に残る演技をしていて、先程書いた、いぶし銀という言葉が当てはまる俳優だと思っています。
ここまでが、私のWWEの思い出となります。
ここからが、感想です。
映画の内容に触れますので、未見の方は注意してください。
冒頭にJJが潜入捜査の際、工場でのアクションシーンで、オペラがバックミュージックで流れる中、スローモーションになる演出を見て、内心「大丈夫か、これは。」と不安になったのですが、その後、取引先のテロリストを車ごと爆破して、車に乗り込んで逃走、残りのテロリストとカーチェイスの流れの時に、JJがカーラジオで音楽を変更しながらの逃走するんですが、状況と音楽のミスマッチというギャクとしてちゃんと回収しているので、不安から一転「これは、期待できるかも。」思った次第。
状況的に切羽詰まっているはずなのに、JJは気分じゃない、とか言いながら、カーステレオの曲を次々変えていくのですが、それが、音楽でかなり雰囲気が変わることも提示していて、私的には笑っちゃいました。
潜入捜査なのに、結果的にテロリストを全滅させ、情報を失ったことに上司が激怒して、テロリストの義姉ケイトを監視する地味な任務に配属されて、しょんぼりモードのJJ。
同じアパートに部屋を借りて、分析官と二人で任務開始。
気を取り直して、監視カメラを設置するため、ケイトの部屋に侵入するも、ケイトが忘れ物を取りに戻るため、急遽部屋で隠れることになるベタな展開。
ケイトが飼っている犬になつかれたり、ケイトが部屋に来そうになったりで、ピンチのJJでしたが、そこの乗り越え方を見て、「漫画かよ。」って思ってしまいました。
でも、動物から好かれ方、動物の扱い方でJJ悪い奴じゃないな、という安心感を提示する演出は、見ていて凄く良かったです。
この映画の、中心的役割を担う、ケイトの娘ソフィなんですが、この娘が、聡明で頭の回転が速い。
私が9歳だった頃は、棒とか振り回してた記憶しかないのに、なんて、どうでも良い話でしたね。
ソフィが部屋で監視カメラを発見するのですが、JJと分析官はそれを別室で見ながら、「まぁ、子どもだし、見つけても追跡されることないだろう。」って余裕満々でピザをデリバリーしていたりするのですが、その間、ソフィはパソコンで監視カメラのコード番号を確認、部屋から出て、ピザを受け取ったJJ達の部屋に侵入、そこで置かれているCIAの証明書を確認、スマホの録画機能をちらつかせて交渉、今ここ!!電光石火のスピードでJJ達に接近してきます。
子どもだから、出来ないだろうという大人の欺瞞を心底嫌っている私としては、「そうだよな。」って頷いちゃいました。
ソフィの行動力、見習っていきたい。
ソフィが正体をばらさない代わりに、JJにスパイの知識や、学校の行事に参加するように交渉して、JJがそれを受ける訳ですが、ここで、武骨で不器用な大男と、頭の回転が速い女の子っていう変則的なバディ物として物語りが進んでいきます。
バディ物といっても、学校の授業参観に行くとか、一緒にスケート場に行くとかなんですが、CIAの前は軍隊に所属していたJJからすれば、もしかしたら、未知なる場所での経験になるし、ケイトだって、母親が忙しくて時間が取れずに、ひとりぼっちでいる寂しさを埋めている存在が必要な訳で、結果的にwinwinの関係な訳で、ちゃんとバディ物として楽しめるんですよこれが。
アパートの住人も、ケイトの近い部屋に住んでいるのが、カウンセラーをしている、ゲイのカップルがいいキャラクターでしたし(パートナーの通り過ぎギャグが結構好きでした。)
ゲイのカップルは実はスパイだったりするのですが、ケイトが二人に対して、「私を騙したのか?」「ゲイってのも嘘だったの?」という問いに対して。「騙してはいたが、ゲイは本当、潜入捜査でこの人と出会ったの。」というセリフは、凄く現代的だなと思いました。
2000年ぐらいの映画でしたら、製作者には深い理由は無く、「ゲイな訳無いだろう。」的なセリフを言わせたと思うんですよ。
そうではなくて、さりげなく多様性を提示しているのが良かったです。
あと、たまに、カットを割って役者がそこに存在しているように見せるシーンがあると、テンションが下がってしまうんですが、この映画は全員現場にいるのが分かるので、それだけでも楽しめました。
この映画の気になる所として、悪役があまりにも印象が薄い事でした。
この悪役の目的が良く分からない部分があって、JJとソフィのシーンは映画のテンションが上がるのですが、悪役のシーンになると一転して下がってしまう、もっと悪役が魅力的に描ければ、もっと良くなる可能性を秘めていただけに、非常に惜しいな感じました。
もし、台本を練り直す時間と、予算があればもっと傑作になりえた、映画になると思います。
そういうのも含めまして、おススメ度は81ということになりました。
この映画を見て、デイヴ・バウティスタには愛嬌があるなと思いました。
この愛嬌は、努力では出すことの出来ない才能だと思うので、これからも、出演作品はチェックしようかなと思いましたよ。
地味ではありますが、良い映画だと思います。
デイヴ・バウティスタの出世作、映画も傑作ですのでぜひご覧ください!!
地味かも知れませんが、個人的に好きな映画でした。
最初、バウティスタと気付かなかったです。
眼鏡が似合う人造人間を目撃せよ。