ラストレター

ラストレター DVD通常版

おススメ度 45

 

 ※この映画が好きな方は、不快になる内容になりますので、ご注意ください。

 

 

 

 

 

 

あらすじ

裕里(松たか子)の姉の未咲が、亡くなった。裕里は葬儀の場で、未咲の面影を残す娘の鮎美(広瀬すず)から、未咲宛ての同窓会の案内と、未咲が鮎美に残した手紙の存在を告げられる。未咲の死を知らせるために行った同窓会で、学校のヒロインだった姉と勘違いされてしまう裕里。そしてその場で、初恋の相手・鏡史郎(福山雅治)と再会することに。 勘違いから始まった、裕里と鏡史郎の不思議な文通。裕里は、未咲のふりをして、手紙を書き続ける。その内のひとつの手紙が鮎美に届いてしまったことで、鮎美は鏡史郎(回想・神木隆之介)と未咲(回想・広瀬すず)、そして裕里(回想・森七菜)の学生時代の淡い初恋の思い出を辿りだす。 ひょんなことから彼らを繋いだ手紙は、未咲の死の真相、そして過去と現在、心に蓋をしてきたそれぞれの初恋の想いを、時を超えて動かしていく―――

 

 以上、フィルワークスより。

 

見ていて、不快な映画でした。

 

まずは、良い所から書いていきます。

出演者の演技は全員良かったですよ、エヴァンゲリオン庵野監督も独特な雰囲気があって良かったですし、広瀬すず、森七菜、福山雅治松たか子の4人は全員素晴らしかったです。

 

 じゃあ、何故私が不快に思ったのかを、書いていきます。

 

冒頭の裕理が、姉の代わりに同窓会に参加する所から映画の中に入り込めなくなりました。

 

裕理に対しては、姉が亡くなったことや、妹であることを最初に言えよ、と思いましたし。

 

そもそも双子でない訳で、同級生全員が姉として接することに違和感がある訳ですよ、映画の中では、姉妹が似ているという描写も見られなかったですし、その時点で夢の中での話なのかな?と思ったりしました。

 

結局、最後まで裕理は、姉として参加したまま、帰ることになります。

 

 

次に、裕理が同窓会から帰宅する時に、バス停のベンチに座って、バスを待っているところに、鏡史郎が初めて登場するシーンは、不穏で、サスペンスホラーが始まるような不気味さがありました。

 

裕理と結婚している、キシノべ(庵野秀明)の行動原理も納得行かない所が多いのも気になりました。

 

バス停で、裕理が鏡史郎とスマホで連絡先を交換するのですが、帰宅した裕理がお風呂に入っている時に、机に置いたスマホを見ていたら、鏡史郎のメッセージを受信するのを見て怒る。

 

ここまでは、気持ちは分かる、そのまま裕理が入っている風呂に一言断ってから、詰め寄って、「何でちゃんと説明して断らなかったんだよ。」と怒る。

 

これも、気持ちは分かる、それで、そのまま、キシノべが「スマホ禁止!!」と叫んでスマホを浴槽に投げ入れる時に何で?って思いましたよ。

 

スマホで返信すれば終わる話じゃないかと思うし、相手からすれば、返信が無くなったら連絡してくる可能性が高くなるのだから、スマホを風呂に投げ入れて解決する話じゃないじゃないってことですよ。

 

無粋な事をいうと、そうしないと、この映画の話が進まないからなんでしょうけど、その後、犬2匹勝手に飼ってきて、君が育てるんだは、完全なパワハラじゃん、動物の命を何だと思っているのだろうか、その犬も裕理のお母さんの家に預けてるし、裕理が「預かってくれないと、保健所かぁ。」とか言っているし、マジか、この脚本書いた岩井俊二、マジか、と思いました。

 

2020年に作成されている映画なのに、このリテラシーなのか、と思ったら映画を見る気持ちもかなり萎えてしまったのも事実としてありました。

 

他にも、裕理が鏡史郎に、美咲が自殺をする原因を作った夫の阿藤(豊川悦司)について話す場面も、裕理が他人ごとのように話をしているのが、見ていて消化できませんでした。

「素性の知れない人で、仕事もせず姉に取りついて生きているような、暴力を止められない人で。」と言っているが、こちらとしては、『ただのヒモでDVでロクデナシのクズ人間でしかないので。』全く、感情的に乗れないし、裕理の心情が読めないというか、恐怖さえ感じました。

 

この映画を見ていく内に、裕理=サイコパス説が少しづつ構築されていくので、不安に気持ちになりました。

 

鏡史郎が、美咲が住んでいたアパートを訪ねると、阿藤は、シレっと同じ場所に過ごしていて、身ごもっているサカエ(中山美穂)と同棲、仕事もしている日常を送っているのが分かる。

 

二人で飲みに行って、鏡史郎が阿藤に美咲の件で詰め寄るも、「お前は美咲のおかげで、小説書けてんだろうが!!」と正論をぶちかまし、新作の小説では、自分視点での小説書くなよ!!と言われる始末。

 

飲み終わって、何事も無く帰る阿藤と鏡史郎。

 

阿藤は、美咲の娘にも暴力振るっていたので、サカエが買い物で外出中に、10トントラックが突っ込んでアパートごと大炎上するシーンと、それを背に向けて歩いて帰るハーレー・クィーンのシーンを勝手に編集しておきました。

 

 

鏡史郎は初恋を引きずって生きている人間なのですが、この映画では純愛として描かれることが、違和感と不快感の原因で、あの、福山雅治をもってしても、気持ち悪さが滲み出てくるので、だとすると、この映画におけるテーマ自体が不快であることに繋がります。

 

岩井俊二監督の描く、自然や人間描写が美しく、ドキュメンタリーを見ているような演技演出もあって、この映画のメッセージ性の歪さが浮かび上がってくる、そういう構図な訳です。

 

 

この映画を見て、心に秘めたままにした方がいい感情もあるということを半面教師で学びました。

 

冒頭の裕理が鏡史郎と連絡先を交換したのは、学生時代の初恋を覚えていたから何でしょうが、だとすると、伝え方があまり上手くないんじゃないかな~って、生意気にも思っちゃいましたよ。

 

何度も言いますが、自然の描写、俳優の演技は本当に素晴らしいです。

 

この映画は私にとって合わない部分があったということなので、今回おススメ度は、45と言うことになりました。

 

 

 

まだ、未見なので、見てみようと思います。

 

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