ジョジョ・ラビット

ジョジョ・ラビット (字幕版)

 

おススメ度 92

 

映画の内容に触れていきます。興味ある方は、鑑賞されてからご覧ください。

 

 

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あらすじ

舞台は、第二次世界大戦下のドイツ。心優しい10歳の少年ジョジョ(ローマン・グリフィン・デイビス)は、空想上の友だちのアドルフ・ヒトラータイカ・ワイティティ)の助けを借りながら、青少年集団ヒトラーユーゲントで立派な兵士になろうと奮闘していた。 しかし、ジョジョは訓練でウサギを殺すことができず、教官から”ジョジョ・ラビット”という不名誉なあだ名をつけられ、仲間たちからもからかわれてしまう。 そんなある日、母親(スカーレット・ヨハンソン)とふたりで暮らしていたジョジョは、家の片隅に隠された小さな部屋で、ユダヤ人の少女(トーマサイン・マッケンジー)がこっそりと匿われていることに気付く。ジョジョの頼りとなるのは、ちょっぴり皮肉屋で口うるさいアドルフだけ…。臆病なジョジョの生活は一体どうなってしまうのか!?

以上フィルムワークス より。

 

 
予告編を鑑賞した時に、ナチスの軍人となるべく奮闘する少年に、ヒトラーの幻想が手伝う映画なのかな?と思ってました。
 
勝手に、各国の軍人のトップの幻想同士が死闘を繰り広げる映画になるのかしらん。
何て思った時もありましたよ、題名も「ジョジョ」とついていることですし、スタンド的な感じで・・ねぇ。
もちろん、そんな映画では微塵もありませんでしたね。う うう・・・う~うううあんまりだ あァァァんまりだァァアァ!!!
 
横道はこれぐらいにして、自分がこの映画に関心を持ったのは、ジョジョ・ラビットの監督兼、ヒトラー役を演じたタイカ・ワイティティ氏のインタビューを見たのが大きかったです。
インタビューの中で、「ヒトラーにとって、最大の屈辱を考えたとき、ユダヤ人が演じることではないかと思い、ユダヤの血が流れる自分が演じようと考えた。」ということを語っていて、気骨があると感じたからです。
映画としても、10歳の少年ジョジョが見ている視点やリアクションが中心となるため、訓練シーンや、幻想のヒトラーとの会話など、どこかコミカルで非現実的な空気が漂っています。
それにより、純粋な子ども達を集めて、思想統制を行う大人たちの醜さと滑稽さが際立つように感じました。(屋外オリエンテーリングのノリで、子ども達に本を炎の中に投げ捨てさせるとか、最悪!!)


しかし、戦争が否応なくジョジョに現実を見せつけてくる過程が容赦無くて、戦争は本当に嫌でロクなものではないと再確認しましたよ。
 
そして、この映画では、自分の頭で考えているキャラクターだけが、戦争という現状に対して、見失うことなく行動していきます。
 
例えば、ジョジョの唯一の実在の友達であり、この映画の清涼剤、ヨーキーがそうで、ジョジョと再開するたびに、「制服のクオリティが下がっている。」だの、現状の違和感をぼやくのですが、戦争の狂気に飲み込まれていかないし、殺伐としていくなか、ヨーキーが登場すると安心できるので、人柄って大事だなと思いました。
 
他にも、ジョジョの靴紐を結ぶという行為が、成長していく演出として作用していたりと、細かい演出が良くて楽しめます。
 
 
戦争が終わり、ユダヤ人の少女エルサと、ジョジョが家の外に出るシーンが印象深くて、ドイツが血眼になってユダヤ人を迫害していたのに、町の住人は誰も、少女をユダヤ人だとは思っていない。
 
このシーンだけで、いかに体制による戦争が愚かで、危険なことなのかが理解できると思うのです。
 
最後のシーンで、ジョジョとエルサは向かい合って、笑みを浮かべながらステップを踏むシーンが良かったです。
 
現実問題、ジョジョとエルサはこの後、困難があると予想できます。
でも、二人はここが不幸の底の底だと実感できている。
 
だから、向かい合ってステップを踏むことができる。
 
もしかしたら、踊れたり、ステップを好きな時に踏める世界が平和なのかも知れません。
 
重いテーマがありつつも、映画自体はエンターテイメントに着地させた、監督の手腕が本当に凄いなと思いました。
 
そんな事もあり、おススメ度は92となりました。
 
是非とも、ご覧ください。