おススメ度 97
公式の劇場版予告が動画で無かったので、各自検索して調べていただけると幸いです。
あらすじはこんな感じ。
夏になると、見たくなる作品ってありますか?
私はあります。
※映画のネタバレがありますので、未見の方はご注意ください。
今回、1989年に発表した押井守監督のパトレイバー劇場版をおススメしたいと思います。
ウィンドウズ95が一般家庭に普及したことを考えれば、1989年にコンピュータウイルスをテーマにしているのが凄いと思います。
何より、当時鑑賞した時は、OSやパソコンの知識が無くても、エンターテイメント映画として楽しんでみていたのを思い出します。
この映画は、レイバーが暴走する原因を、遊馬が探るミステリーパートの前半と、後半、箱舟解体するためにレイバーが施設に乗り込むアクションパートで構成されているのですが、ちゃんとミステリー要素を残したまま、アクションパートに移行しているのが良い感じでした。
前半部分は、遊馬の話と同時進行で、刑事二人が帆場映一が住んでいた住居の足取りを追うシーンがあるのですが、そこには都市開発で壊されていく街並みが映し出されていて、都市開発で住居を出ざる得ない体験は無いのに、郷愁の思いを感じさせます。
他にも、外で刑事二人が腰を下ろしてジュースを飲んでいる場所が、かつて銭湯だった湯船の残骸であったりと、体験していないノスタルジーに共感して、胸を打たれるのです。
後半の箱舟解体のパートも、箱舟の解体作業中に、無人の管制室に何者かが動いていて、検索の結果「E・HOBA」と表示されるところは、ホラー的でもあったし、それが物語の推進力として効果を発揮しているの良かったです。
私が個人的に印象的だったのが、整備員のシバシゲオと遊馬が、シバシゲオの自宅で、レイバー暴走の予測範囲をパソコンでシュミュレーションしているシーンでした。
東京一体のマップに、暴走する範囲が赤い円で表示されるのですが、何度やっても予想範囲は小さい円にしかならず、手詰まり感がでている状態。
差し入れに来た泉野明が、コーヒーを入れるため、ガスコンロに火を入れると、ガラスが共鳴したことに気が付いた遊馬、前に箱舟の設計図のバックアップを取っていたことに気が付いて、箱舟のデータを元にレイバーの暴走範囲を特定した後で、シュミュレーション画面一杯に広がる赤い円の大きさのインパクトと、不穏で緊迫した音楽、そしてこのシーンの声優の演技どれをとっても良い。
DVDで映画を鑑賞する際の良し悪しの基準として、『映画館で体験したかった映像や場面あるか。』というのがありまして、この映画を鑑賞するたびに、映画館で見たかったなぁと感じさせる名シーンだと思います。
後半のゼロ式登場からの、朝日をバックにしたイングラム1号機とゼロ式が対峙するシーンはこの映画を彩る名シーンですし、最後の箱舟解体したあと、ヘリコプターが救援に向かうのを見上げる特車二課の面々、それと同時に音楽と共にスタッフロールの流れは何度見返しても、テンションが上がります。
映画内が夏であることと、台風が物語に影響することもあって、真夏になると私は、この映画を無性に見たくなるのです。
暑い日に、かき氷を食べたくなるように。
うだるような暑さは、涼しい部屋でDVD鑑賞などはいかかでしょうか。