おススメ度 3億
※映画のネタバレになります。
少しでも興味ある方でしたら、映画館で鑑賞後にご覧ください。
そうしていただけると幸いです。
あらすじはこんな感じ。
「スパイダーマン ホームカミング」「スパイダーマン ファー・フロム・ホーム」に続く、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に属する「スパイダーマン」シリーズの第3弾。MCU作品の「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」「アベンジャーズ エンドゲーム」でもスパイダーマンと共闘した、ベネディクト・カンバーバッチ演じるドクター・ストレンジが登場する。前作でホログラム技術を武器に操るミステリオを倒したピーターだったが、ミステリオが残した映像をタブロイド紙の「デイリー・ビューグル」が世界に公開したことでミステリオ殺害の容疑がかけられてしまったうえ、正体も暴かれてしまう。マスコミに騒ぎ立てられ、ピーターの生活は一変。身近な大切な人にも危険が及ぶことを恐れたピーターは、共にサノスと闘ったドクター・ストレンジに助力を求め、魔術の力で自分がスパイダーマンだと知られていない世界にしてほしいと頼むが……。サム・ライミ監督版「スパイダーマン」シリーズに登場したグリーン・ゴブリンやドック・オク、マーク・ウェブ監督版「アメイジング・スパイダーマン」シリーズのエレクトロなど、過去のシリーズ作品から悪役たちが時空を超えて登場。それぞれウィレム・デフォー、アルフレッド・モリーナ、ジェイミー・フォックスら当時のキャストが再登板した。
2021年製作/149分/G/アメリカ
原題:Spider-Man: No Way Home
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント以上、映画.Comより
以上、フィルマークスより引用
上演初日に鑑賞したのですが、午後6時の上映時間で、約3割ほど座席が埋まっていました。
2022年の最初の映画鑑賞となったこの作品、個人的には最高の映画体験でした。
予告を見る限り、スパイダーマンシリーズの悪役が勢ぞろいするってことは・・・と思ったのですが、そのまさかで、実写版スパイダーバースを見られるとは思いませんでした。
歴代スパイダーマンが勢ぞろいしたシーンを見られただけで、おススメ度は3億まで跳ね上がりました。
おススメ度の3億の内訳ですが、スパイダーマン一人に対しておススメ度は1億なので、その倍で3億です。
おススメ度が100がMaxだなんて誰か決めたのでしょうか。
そういう事でございます。
上映中に、この映画を鑑賞できることに多幸感が溢れすぎて、そのまま幸せ死してしまうぐらい良かったです。
早くも、個人的に2022年ベストになるかも知れない今作品ですが、予告編のような悪役大集合で終わらない所が流石マーベルクオリティだなと思いました。
なによりも、悪役達の更生と許しがテーマだと知った時、ポテトを食べながら「まじか・・・」と口にでそうになるぐらい意外性がありました。
もはや、どちらかが正義で片方が悪という対立構造が成立しなくなっていく時代性もあり、悪い奴だから処分や排除していい、という文脈ではない、また違うアプローチで、一歩踏み込んだテーマに驚きました。
ドクターストレンジが魔術によって、ピーターパーカーをスパイダーマンであることを知っている人間の記憶を忘れさせる手はずをして、あとは悪役をそれぞれの時間軸に返すだけの状態なのですが、ピーターパーカーが元の時間軸に戻った悪役達が、最後命を落とすことを知り、悪役達の更生と許しを提案をするのですが、正直見ていて青臭いな・・・と思いながら見ていたのですが、そこはマーベル。
ストレンジにも「一緒にいたから忘れていたが、彼はまだ子供だ。」というセリフを言わせていて、ピーターパーカーが純粋さと青臭さを持っている青年だという事を明示させているのがぬかりが無いなと。
前作でも、ミステリオから「お前は優しすぎる。」と言わせてますし、この優しさと甘さが混同している性格が今シリーズのピータ―パーカーのキャラクター性だと思う訳です。
ピーターパーカーの親友ネッドも良いキャラクターですし、ドクターストレンジと会った時にネッドが「手がムズムズする時があるけど、俺魔法使用できる?」質問した際に、ストレンジが「医者に診てもらえ」って返したのが個人的にツボで「元々外科医だったろう。」と内心、指摘してしまうくらい良いシーンでした。
なんやかんやで、そのネッドがゲートを開ける事に成功するわけですが、そこで今作の肝でもある、スパイダーバースへと移行していくのを見ながら、憎いねぇこの演出!!と思っていました。
ネッドがパーカーに身を案じて、ゲートを開けてピーターを探す。
そうすると、遠くにスパイダースーツを着たピーターが、ゲートに気が付いてネッドの自宅へと足を運ぶと、このスパイダーマンが明らかにデカい。
ここで、違う世界のスパイダーマンだと分かるわけです。
こんな感じで3人のピータ―パーカーが勢ぞろいして、それぞれの会話をしているシーンがとにかく微笑ましい、二代目のピータ―パーカーに他の二人が「君はアメージングだ。」と励ます所とか、初代が手首から蜘蛛の糸を発射したのを見て「それ、何?」「どういう原理?」とか質問攻めするところとか、見ていて飽きなかったです。
あと、年齢や雰囲気もあってピーターパーカーが3兄弟ぽく見えるのが個人的には面白いと感じました。
何よりも、悪役達が思ったよりも登場機会があったのが意外で、その中でもドック・オクやグリーンゴブリンがまぁ大活躍していました。
何よりも、悪役を演じていた役者たちが、キャリアを積んで廃業することもなく、こうしてスクリーンに登場すること自体、ドキュメンタリーの要素もあって感慨深ったです。
映画の話としては、ピーターパーカーの思いも虚しく、悪役達は結局大暴れ、その結果、グリーンゴブリンの爆弾攻撃によって、メイおばさんが命を落とす事態になります。
スパイダーマンって、それぞれ大切な人を亡くしていて、喪失感を抱えていることがスパイダーマン特有の暗さというか、キャラクターに大きく関わっていると思っているのですが、今作のスパイダーマンって、友だちもいて、仲間もいて、愛する人もいる訳で、一番垢ぬけているスパイダーマンでもあったのですが、この瞬間に他のスパイダーマンと同じ境遇になっていくのを見ると、少し切なさを感じました。
最終決戦の自由の女神での戦いも、スパイダーマンが誰かと息を合わせて戦うこと自体無いので、バラバラで息があっていなかったりと、見ている人がクスっと笑える部分もあったりするので、退屈することも無く楽しめました。
ネッドがゲートを開けて、ストレンジが作成した忘却の魔法が入っている箱をパーカーから貰ったあとで『ゲートの開け方は知ってるが、閉じられない。』ことが発覚してリザードにゲートに侵入されて、結局全員が自由の女神に集結させる展開は見ていて感心しました。
最後に、メイおばさんの命を奪ったグリーンゴブリンとタイマン勝負するピーターが、ボコボコにして止めを刺そうとするのですが、それをせずに、グリーンゴブリンの首に解毒剤を注入、それと同時に魔法を発動、それぞれが人間の姿に戻ってそれぞれの世界に戻っていって、最後は、メイおばさんの「正しい事をする。」この言葉に従って、スパイダーマンとして役目を全うするピーター。
そこで、エンドロールが流れていったような気がしました。
スパイダーマンシリーズでみれば、今作品は原点回帰であり、ピーターパーカーがヒーローになるための通過儀礼が、最後に選択した自分の事を知っている人間の記憶を無くすことだったのだなと解釈しました。
映画単体で見ても、最後の最後まで満足させる仕組み、あんこが尻尾の先までぎっしり詰まっているたい焼き、密度があるアップルパイを連想させる満足感。
文句ありません。
ちなみに、日本語吹き替え版も出演者が豪華なので、タイミングが合えば、日本語吹き替え版も鑑賞しようかなと思っています。
※追記
後日、日本語吹き替え版も鑑賞してきました。
字幕を見る作業が減った分、ストーリー重視で見ることができたので、そこで細かい演出に気が付くことができたりして楽しかったです。
終盤で、自由の女神から落下するMJを助けるのがMJを助けることが出来なかった『アメージングスパイダーマン』のピータ―パーカーであったりするところが演出的にも丁寧に感じました。
スパイダーマンに登場していたヴィランを救済するだけでなく、ピーターパーカーにも救いの手を差し伸べる『スパイダーマン・ノー・ウェイ・ホーム』は傑作だと改めて思った次第です。