排水溝の蓋

夜、自転車に乗る時に手袋を落としてしまって。
手袋を拾おうとしたら、ほら、鉄で出来ていて、網目状になっている「排水溝の蓋」と説明したらいいですかね、その上に手袋が落ちてましてね。

幸いなことに網目が細かい事もあって、手袋が排水溝に落ちる事も無く拾えたんですよね。

その時、排水溝の泥の一部が光ったような気がしましてね。
もしかしたら、硬貨や金属が信号機の光に反射したのかもしれませんが、何というか、誰かと目が合った感覚だった。違和感があったんですよね。
気のせいかも知れません。ただ、あの日から上から視線を感じるような気がして、後ろを振り向けなくなってしまったんですよ。
だから、後ろを振り向けないものだから、何かあった時は振り向くかわりに、そこまで後ずさりしてるんですよ、これが意外と不便で、日常で振り返る時って意外とあるんだな。なんて思っていますよ。

霊?そんなの信じていません。
そんなのは、名前の付かない恐怖や不安を偶像化した物にすぎません。
たまに、居心地が悪い部屋とか建物があったりしますが、その原因は、霊のような非科学的な現象ではなくて、実際にはカビだったりするそうですよ。
だから、そういう場所に一番効果的なのは、お経やお札なんかよりも、除菌スプレーだったりするそうです。
結局、一番大事なのは換気と掃除という事になるんですかね。

話は逸れてしまいましたが、こんな感じで、霊は信じていなんですがね、上からの視線は感じているんですよ。今も。


おかしな話でしょう?

さっきから、すいませんね。私ばっかり話してしまって。

秘密を共有するオフ会っていうのがあるというので、今回参加してみたんです。

秘密を共有したい人が、私を含めてこんなに大勢いるなんて思いもしませんでした。

今回、参加して良かったですよ。

何故、あなたに話しかけてるかというと、参加者の中で、あなただけが、私から視線を逸らし続けてるからです。

もしかして、あなただけには何か見えてるんですか。

もしそうなら、教えてくださいよ。

あなたも私と同じで、上からの視線が気になって仕方がないんじゃないんですか?

私も、あなたの上にいる黒い霞のような正体教えますから。

 

 

ね、教えてくださいよ。