春は遠い

一昼夜洗濯物を干していても、まだTシャツが湿っていた。
まだ春は遠く感じる。
Tシャツは元々漢字の「丁」(テイ)の字に似ているから、丁シャツと言われていたらしい。
T字路もそもそも、感じの丁に似ていることから、ティー字路ではなくて、テイ字路が正しい発音だったとされる。
T字路の件は、Tで問題無いと思うが、最初のTシャツは納得いかない、首周りの形にもよるが、あれはTシャツよりも、Uシャツ、またはVシャツを呼ぶ方が分かりやすいのではないか。
Vネックという言葉あるのだから、それを模倣すればいいのに、そこはTと丁なのか。
微妙に湿っている洗濯物を前にすると、人は物思いに耽る。
軽い現実逃避とも言える。
 ニュースで、花粉が例年よりも多くなるニュースが耳に入る。
花粉症の症状が出ない年もあるが、例年よりも花粉が多くなるニュースを見た年は、大体花粉症になる。
メンタルから来る花粉症だと思ったこともあるが、実際には花粉は物理的に降りかかってくるので、それは無さそうだ。
小さい頃は花粉症という存在を知らなかったので、やけに鼻がムズムズするなと思うくらいで「てやんでぇ」と啖呵を切る江戸っ子のように、鼻を掌底の部分を使用して啜り上げていた。
寝るときも花粉で鼻呼吸が出来ないので、いかに鼻呼吸をする寝相を開発するかに心血を注いでいた。
その後、薬局で処方された漢方を飲んだり薬を飲んでいたが、効果は微妙だった。
結局、一番効果があったのがマスクだったので、この時期はマスクを装着していた。
タイムマシンがあれば、幼少の時の自分に「花粉症に一番効果があるのは、マスクだぞ。」と伝えたい。
これによって私のマルチバースが誕生するのだろうか、少し不安だ。