『シン・仮面ライダー』

 

オススメ度 58

※ネタバレあり。

 

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1971年放送開始の特撮テレビドラマ「仮面ライダー」を、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」「シン・ゴジラ」の庵野秀明が監督・脚本を手がけて新たに映画化。

主人公・本郷猛/仮面ライダー役に「宮本から君へ」の池松壮亮、ヒロイン・緑川ルリ子役に「賭ケグルイ」シリーズの浜辺美波、一文字隼人/仮面ライダー第2号役に「ハケンアニメ!」の柄本佑を迎え、新たなオリジナル作品として描き出す。

ルリ子の兄・緑川イチロー森山未來、父・緑川弘博士を塚本晋也、秘密結社SHOCKERの上級構成員・ハチオーグを西野七瀬、同じくSHOCKER上級構成員のコウモリオーグを手塚とおるがそれぞれ演じる。テレビアニメ「ヨルムンガンド」「天元突破グレンラガン」などで知られる作曲家・岩崎琢が音楽を担当。

2023年製作/121分/PG12/日本
配給:東映

以上、映画.comより

 

 

仮面ライダーの想いを伝えるために、庵野秀明監督が夜中に書いたラブレター。

 


映画『シン・仮面ライダー』を鑑賞した。


仮面ライダーは、平成ライダーという存在があるらしい、くらいの知識しかないので、ここからの感想は、特撮を知らない人間が書いている文章というのを念頭に置いて読んでいただけると幸いです。

 

※ネタバレします。

 

最初にも書いたが、この映画は、特撮『仮面ライダー』に対して、庵野秀明監督が夜中に書いたラブレターだと思いました。


この「夜中に書いたラブレター」というのが大事なのですが、私も高校時代、意中の人に徹夜してラブレターを書いてポストに投函した事がありましてね。(遠い目)


数日後、丁寧なお断りの文章が同封された封筒が送られてきて、その日の夜中に、自転車で近くの山の山頂に向けて立ち漕ぎしたのを昨日のように思い出します。(血涙)


その事を思い出すたびに、舌を噛み切って絶命したい思いに駆られるのですが、大人なので奥歯を噛みしめて乗り切っています。

 

話がずれてしまいましたが、この映画は庵野秀明が理性よりも衝動を優先させて製作した映画なのだと思った次第です。

 

私には、この映画が良く分からなかった。


映画のストーリーは、一本道で分かりやすかったのですが、監督庵野秀明の心の内が理解できなかったです。なぜ、この映画を撮ったのを含めて。

 

冒頭の仮面ライダーとショッカーとの戦闘シーンでは、殴られたショッカーの顔面が陥没して流血、腹を突き破られて流血するなど、仮面ライダーの超越した身体能力を表現する意味もあるのでしょうが、とにかくゴア描写が意識的に取り入れられていて、これがシン・仮面ライダーとしてのリアリティなのであるならば、正直必要性は感じませんでした。

 

庵野秀明監督は、この作品を本当に撮影したかったのだろうか?


庵野秀明は、他のアニメや映画映像を切り取り、それを並べることで新たな映像を作成できる、いわば、卓越したサンプリング能力を持ち合わせている才人だと思っているのですが、今回の『シン・仮面ライダー』は見た事のある映像のオンパレードだったのも、この考えに拍車をかけました。


劇場版エヴァンゲリオンで見た風景を、実写で撮影している作業に何の意味があるのだろうか、登場キャラクターの緑川ルリ子も、ボブカットで無表情での佇まいは、綾波レイをイメージしました。


この映画は、アニメ新世紀エヴァンゲリオンの世界に引っ張られたまま製作された、実写版、仮面ライダーだと思いました。

 

この映画に登場する怪人は超越した力を持っているという前提で見ていると、サソリ女のストーリーがおざなりすぎる。

最初はアクションシーンと共に、サソリ女の強さを描くのかと思っていたら、あっさり倒されるので、どういう事?と思ったのですが、結局、この時にサソリ女から採取した毒が、次に闘う蜂女の伏線になっているのですが、これが雑すぎる。


サソリ女から採取した毒を入れた銃口を蜂女の胸に向けて、情報機関の男を演じる斎藤工が発射するのですが、蜂女が「私にはそんなの通用しない。」と言いながら、胸から出る血を見て絶命するシーンは見てて不安になりました。
もしかして、これは何かの伏線なのかなと思って見ていたのですが、そんな事もなく映画は進んでいたので、こういう部分は良くも悪くも、子供向けの特撮ヒーロー物なんだなと自分に言い聞かせていました。

 

仮面ライダーはアクションシーンが一番の華だと思うのですが、そのアクションシーンがずっとごちゃごちゃしているんですよ、これって映画として問題で、爽快なアクションシーンを楽しみにしているのにも関わらず、仮面ライダーと最後のボスである蝶オーグとの闘いは、最初は良いのですが、最終的には、仮面ライダーと蝶オーグがレスリングでいうグラウンドでマウントをとりあうシーンを延々撮影していて、それが長い。


アクションシーンの殺陣が出来る人を招集していないのかなと、思うくらいに雑でした。

ですが、仮面ライダー1号と2号が並んで変身ポーズを決めるシーンは、仮面ライダーを知らなくても、凄く格好良かったです。

 

最終的には、仮面ライダーは消滅するがその意志は仮面ライダー2号が引き継ぐという形で映画は終わっていました。

 

仮面ライダーを知らなくても楽しめる映画だと思います。
ただ、映画としての出来が良くないというのが私の率直な感想です。

 

しかし、庵野秀明監督の「てにをはを多少間違えていても、自分の仮面ライダーに対する想いは本物だ。」という思いは勝手ながら受け取りました。

結論として、やはりこの映画は、庵野監督が仮面ライダーへの想いを綴った、夜中に書いたラブレターだと思った次第です。

 

仮面ライダーに思い入れが無いのと、映画として見たら雑な部分が目立っていたのでオススメ度は58となりました。

 

刺さる人には脳天からぶっ刺さるぐらい心を掴んで離さない映画なのかも知れません。

 

 

特典として仮面ライダーカードが貰えたので、開封してみたら主人公の二人でした。

昔、買っていたプロ野球チップスを思い出しました。