『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』

 

 

オススメ度 97

 

※ネタバレあり

 

www.youtube.com

 

あらすじ

1974年にテーブルトークRPGとして発売され、世界初のロールプレイングゲームとしても知られる「ダンジョンズ&ドラゴンズ」を新たに映画化したアクションファンタジー。主演を「スター・トレック」「ワンダーウーマン」シリーズのクリス・パインが務めた。

さまざまな種族やモンスターが生息する世界、フォーゴトン・レルム。盗賊のエドガンと相棒の戦士ホルガは、ある目的のために旅に出る。これまでにもさまざまな修羅場をくぐり抜けてきた彼らだったが、今回の冒険は一筋縄ではいきそうにない。そこで、魔法使いサイモンとドルイドのドリック、聖騎士のゼンクを仲間に加え、パーティを組む。ダンジョンに立ちはだかる困難や手ごわい敵の数々、そして高難度のクエストを乗り越えていくうちに、彼らは全世界を脅かす巨大な悪の陰謀に対峙することになる。

盗賊エドガンをクリス・パイン、相棒のホルガを「ワイルド・スピード」シリーズのミシェル・ロドリゲスが演じ、彼らとパーティを組むサイモンをジャスティス・スミス、ドリックをソフィア・リリス、ゼンクをレゲ=ジャン・ペイジが演じる。また、イギリスの人気俳優ヒュー・グラントも参戦。

2023年製作/134分/G/アメリ
原題:Dungeons & Dragons: Honor Among Thieves
配給:東和ピクチャーズ

以上、映画.comより

個性的なメンバーでクエストのクリアを目指せ!!!

 

ダンジョン&ドラゴンズの存在は知っていましたが、実際にテーブルゲームで遊んだ事はありませんが、この映画、とても楽しめました。

 

エドガーの職種が盗賊となっているのですが、彼は『シーフ』ではなく『バード』という職種なので、和訳すると吟遊詩人となります。

この映画でも、他のメンバーが武器を選ぶなか、エドガーがリュートと呼ばれる弦楽器を手にしたりと、馬に乗りながら歌を歌ったりと丁寧に描写されています。

勿論、物を盗む描写もあるのですが、それは自暴自棄になったうえでの行動なので、職種というより犯罪行為に近い。

 

そもそも、亡くなった奥さんを蘇らせるため、生き返りの石板を手に入れるというクエストなので、吟遊詩人だと、分かりにくいという判断があったのかも知れません。

しかし、ここは盗賊ではなく、吟遊詩人で良かったと思いますが、和訳の難しさを感じました。

 

エドガーを始め、パーティーそれぞれに心の傷を持っていて、エドガーの相棒である女戦士のホルガは、仲間思いで、行動力もあり、腕っぷしや勇気も持ち合わせているが、酒癖が悪く、家庭を顧みなかったため、旦那から離婚されていたりします。

従来なら、ホルガは男性の役者が演じていても問題は無いのですが、この映画では、性別は関係なくて、酒癖悪くて、家庭を顧みないのは人として良くない事として表現しているのが現代的で良かった。

 

様々な動物に変化することが出来る、ドリックの存在がこの映画を魅力的にしているといっても過言ではなくて、最初見た時に、こんな可憐さと強さを併せ持つ存在感に驚きました。

 

正直な話、この映画の冒頭シーンを見て本当に面白くなるのか心配になっていたのですが、ドリックが城の中に潜入して、そこから様々な動物に変化しながら城の外に逃亡するシーンを見た時に「この映画は、全体重を預けても大丈夫だ。」と安心して、映画に身を委ねる事ができました。

 

ギャグシーンがちゃんと観客に伝わる嬉しさ。

 

この映画、ギャグシーンが定期的に盛り込まれているのですが、ちゃんと自分を含めて受けているのが印象的でした。

今回、日本語吹き替えで見たのですが、ギャグのニュアンスは吹き替え版の方が伝わりやすいかも知れません。

個人的には、聖騎士であるゼンクの言葉を真に受ける所と、立ち去る時にまっすぐ歩いて岩をそのまま乗り越えて行くところが良かったです。

 

エドガーは、魔法を使える訳でも、剣術に長けている訳でもないのですが、パーティーを言葉で奮い立たせ、新しい作戦を考え続け、自分の弱い部分もさらけ出すことで、パーティーをまとめ上げるといった、リーダーとしての能力が特出しているのが印象的で、一番戦闘に向かない、エドガーがリーダーになっているのが、映画のバランスとして絶妙でした。

 

後、詐欺師役のフォージを演じるヒューグラントが本当に良かった。

ヒューグラントと言えば『ノッティングヒルの恋人』などのラブコメに数多くの主演をしているイメージで、好青年だけど、どこか頼りない男性を演じさせたら右に出る者はなく、当時はやっかみも込みで、「どこか胡散臭い感じがする役者だな。」なんて事を思っていました。ごめんなさい。

そのヒューグラントが、何処か憎めない、どうしようも無い詐欺師を熱演しているのを見て、役者としてキャリアを重ねていたのを知り、どういう感情か分からないのですが、少し泣きそうになりました。

 

最後の、敵である魔法使いのソフィーナに対して、パーティー全員で戦っていくシーンであったりと、パーティー全員が力を合わせていく姿が格好良く撮影されているだけで、この映画の価値があると思うのですよマジで。

 

娘を救出して、生き返りの石板を手に入れたエドガーが、ソフィーナとの闘いで致命傷を負ったホルガに石板を使用するシーンで感涙。

娘にとって、母親のような存在がホルガで、エドガーはそこで過去に生きるか未来に生きるかの選択で未来を選んだ事が尊くて、泣けました。

 

ここ最近の字幕として、エンディングで流れる歌にも字幕を付けてくれるようになったのが、とてもありがたい。

今回の映画では、エンディングの曲には字幕は無かったのですが、最後の曲も歌詞を理解できると映画に関する内容だったりするので、字幕があるとより楽しめると思った次第です。

 

個人的には、傑作映画でした。

 

出来れば、この座組で何作か映画を作成して欲しいので、ぜひ映画館でご覧いただけると幸いです。