おススメ度 91
※ネタバレあり
ゴールデンカムイの一作目の出来が良かったので、映画館に足を運びました。
序盤、ラッコ鍋を食べてからの相撲シーンを長々とスクリーンで映し出された時は、原作に忠実とはいえ、何を観てるんだろうか?という思いもありましたが、その後は尻上がり的に良くなってきたので、そんな考えは杞憂となりました。
原作はギャクとシリアスが交錯する漫画なので、実写にすると少し間延びしたり、面白くなかったりするのですが、このゴールデンカムイシリーズはそうならないとようにと、監督がかなり配慮しているのが伺えるので、安心して鑑賞してました。
細かいシーンですが、幼いアシリパと父親の回想シーンで父親がアシリパのほっぺにキスをしようとしたらアシリパが手で父親の口を塞いで拒否するシーンを観ると、ひと昔前だったらほっぺにキスをさせていたのだろうけど、実際は演じているのは女の子なわけで、親子の役とは言え、実際にキスを容認するのは子供の負担になるのではと思うと、こういう配慮は大切だなと思った次第です。
邦画における悪癖として、安易に説明台詞を言わせたり、主人公が大声で泣いたり、叫ばせる演技をさせるというのが根強くあるのですが、これらの演出についても、この映画に関しては、かなり抑えていたという感想を持ちました。
アシリパが泣き叫びながら膝から崩れるシーンがあるのですが、そこに音楽を被せる事で、声は実際にはスクリーンには入らない。という演出がされています。
しかし、役者は実際に演技しているので、観ていれば悲しみに打ちひしがれている事は明白なので、こういう処理の仕方は演出的にありだと思いました。
これは、監督と観客の間には『観ていれば分かるのに説明しすぎ』問題と、『観ている観客を監督が信じていない』問題が、根深く横たわっている弊害だといえます。
この映画に限って言うと、演出的にはかなり抑えていて、なおかつ説明過多にならないバランスでした。
演出的に抑えている一例として、杉本が白石にアシリパのことを頼んだ時の、白石が一瞬、どうしようかと迷いながらも、杉本の伝言を引き受けた時の顔の表情の変化が挙げられます。
このシーン、一切セリフが無く表情の変化のみで成立していることが凄い。
セリフが無くても、白石の心の変化は観客は感じ取れる。
そこに、監督と観客の一体感が生まれるのではないでしょうか。
白石を演じる役者の人には、仕事が次から次へと舞い込んで欲しいなと切に願っています。
他にも、インカラマッと谷垣のエピソードで、谷垣がご飯の入った茶碗をインカラマッに渡す前に、白石が勝手に食べてチカバシから頭を叩かれるシーンで少し笑いました。
白石がこの映画におけるコメディリリーフ役と、物語を推進させることができる重要なキャラクターなので、これからの活躍にも期待したいところ。
網走監獄内でも、門倉の『風見鶏ぽく見えるが、芯があって食えない奴』感がちゃんと表現されるのもポイントが高い。
この映画、他のキャラクターにも言えるのですが、キャスティングが本当に完璧すぎて良かったです。
特に鯉登中尉のクオリティの高さは、実写版ストリートファイターでのザンギエフを見た時とほぼ同等の衝撃を受けました。
杉本と二階堂のアクションシーンも、二階堂の異常な身体性から繰り出される攻撃のスピーディさもあって飽きることなく最後まで観られましたし、出演している役者全員が、ゴールデンカムイのアニメに演技を寄せているので、アニメから入った人は映画に没頭しやすいこと請け合い。
次は樺太編なので自分の興味はただ一つ、岩息は誰が演じるのか?その一点のみ。
日本の役者に岩息を演じられる人物がいるのか、いないのか。どっちだ?
話はさておき、ゴールデンカムイが完結するのはまだ先のようですが、このままのテイストで最後まで走り切れれば『日本版ロードオブザリング』になりえるかも知れない。
そんな期待を込めてオススメ度は91となりました。
最終決戦の五稜郭編はCGではなく、巨大なセットを組んで撮影できるくらいにこの映画が流行してほしいなと切に願います。
この映画の冒頭ナレーションは、アニメ版で尾形を演じている津田健次郎が担当しているのですが、ここは、アニメ版のナレーションを担当している立木文彦でも良いのではかと、毎回思っています。





