おススメ度 65
※『男はつらいよ』シリーズを1作目しか見ていない人間の感想なので、それを踏まえてお読みください。
あらすじはこんな感じ
山田洋次監督による国民的人情喜劇「男はつらいよ」シリーズの50周年記念作品。1969年に第1作が劇場公開されてから50周年を迎え、97年の「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇」以来、22年ぶりに製作された。倍賞千恵子、前田吟、吉岡秀隆らに加え、シリーズの看板俳優であり、96年に亡くなった渥美清も出演。さらに、歴代マドンナからは後藤久美子、浅丘ルリ子と「男はつらいよ」でおなじみのキャストが顔をそろえる。柴又の帝釈天の参道にかつてあった団子屋「くるまや」は、現在はカフェに生まれ変わっていた。その裏手にある住居では車寅次郎の甥である満男の妻の7回忌の法事で集まった人たちが昔話に花を咲かせていた。サラリーマンから小説家に転進した満男の最新作のサイン会の行列の中に、満男の初恋の人で結婚の約束までしたイズミの姿があった。イズミに再会した満男は「会わせたい人がいる」とイズミを小さなジャズ喫茶に連れて行く。その店はかつて寅次郎の恋人だったリリーが経営する喫茶店だった。
2019年製作/116分/G/日本
配給:松竹以上映画ドットコムより。
この映画を予告編で見た時に想像していた内容として。
最初に、寅次郎が帰ってくる話題で盛り上がる、とらやの面々。
過去に、とらやと縁のあるマドンナが柴又に現れて、柴又の面々も話題は寅次郎の話で持ち切りになる。
だが、寅次郎は柴又に現れない。
満男とマドンナが、寅次郎を探すため浅草を走り回る。
走りながら、寅次郎と思い出を逡巡する二人。
最後に二人がたどり着いたのは、思い出のある河川敷だった。
河川敷を見渡すと、遠くに覚えのある後ろ姿を見つけた二人が、大声で叫ぶ、「おじさん!!」「とらさん!!」
その声に反応して、振り返る瞬間に、『男はつらいよ』のメインテーマが流れて、スタッフロールが流れるのだろうなと思ったのですが、実際には、そんなに外れてはいなかったなと。
実際には、くるまやに関わる人たちが、寅次郎の思い出を共有する構成となっていて、思い出すたびに当時の映画のワンシーンが流れるわけですが、寅次郎のPVを見ているようでした。
当時の映画のワンシーンなので、40年ぐらい前の柴又駅とか、当時の電車が映像として残っているので、当時を知る貴重なアーカイブとして映画が機能していて、それを見られただけで、この映画の意味はあるのではないかと思いましたし、男はつらいよに関わった俳優たちの同窓会と卒業式にも感じました。
まあ、先程も書きましたが、1作目しか見ていませんが、もし、この作品と共に人生を歩んで来た人からすると、かけがえの無い映画になると思います。
例えば、スターウォーズやバックトゥザフューチャーが、数十年振りに新作作成するなんて話があれば、多分映画館に足を運びます。
それに近いのかも知れません。
映画の感想についてですが、冒頭『男はつらいよ』のメインテーマが流れるのですが、歌が渥美清ではなく、正直、美声とは言えないこの歌手は誰だろうと思っていたら、スーツを着た桑田佳祐が、河川敷で歌っていて、「誰も得していないな。」と思いました。
突拍子が無いのもあって、デビットリンチの映画を見ているような混沌を感じましたよ。
他には、満男役の吉岡秀隆がとても良かったです。
満男の高校時代の恋人役だった、後藤久美子も不思議な存在感というか、演技が下手に見えるギリギリというか、とにかく、絶妙でした。
個人的に印象的だったのが、この映画における山田洋二監督の中学生の描写で、女子中学生は、ちゃんと会話が出来る一人の人間として演出しているのに対して、この映画の男子中学生は、キャップを被ってブルースリーの真似をし続けていたのですが、これって監督の、「男子中学生なんて、女子に比べて幼くて動物みたいな生き物だ。」という演出だと思うのですが、真意はどうなんでしょうか。
違う視点で見ると、同学年の女子に対して、恰好つけているとも見えましたが、映画には全然関係無いところですが、気になりました。
他にも、落語家の立川志らくが、養老院で受けない落語家という、ただ損な役回りだったり、昔ちょい役で出演していた出川哲郎が出演していたりと、出演者の豪華な顔ぶれなのも見ていて楽しめました。
『男はつらいよ』というタイトル自体が、時代に合わなくなってきている今、このタイミングで完結するというのも、日本映画の歴史を見届けたような気がして、感慨深くなりました。
何度も言いますが、この作品は最初の1作目しか見ていない事と、思い入れがあまり無いこともありまして、おススメ度は65となりました。
何も知らない人間が戯言だと思っていただければ幸いです。
山田洋二監督で好きな作品です。
田中邦衛氏の名演技を堪能できます。