おススメ度 94
※映画の内容に触れていますので、未見の方はご注意ください。
あらすじはこんな感じ。
「アベンジャーズ」シリーズをはじめとしたマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)で知られるマーベル・スタジオが送り出すヒーローアクション大作。太古から人類を見守ってきた「エターナルズ」と呼ばれる者たちの活躍を、「ノマドランド」でアカデミー賞を受賞したクロエ・ジャオ監督が描く。「アベンジャーズ エンドゲーム」後の世界を舞台に、これまで人知れず人類を守ってきたエターナルズが姿を現し、未曽有の危機に立ち向かう。遙かな昔から地球に存在し、7000年もの間、陰から人類を見守ってきたエターナルズ。最凶最悪の敵サノスによって半分が消滅させられた全宇宙の生命は、アベンジャーズの戦いによって復活したが、その時の強大なエネルギーによって新たな脅威が誕生し、地球に迫っていた。その脅威に立ち向かうべく、これまで身を潜めていたエターナルズが再び集結する。10年ぶりのアクション作品への出演となるアンジェリーナ・ジョリーをはじめ、「クレイジー・リッチ!」のジェンマ・チェン、「ゲーム・オブ・スローンズ」のリチャード・マッデン、キット・ハリントン、これがハリウッドデビューとなる「新感染 ファイナル・エクスプレス」のマ・ドンソクらが出演。
2021年製作/156分/G/アメリカ
原題:Eternals
配給:ディズニー
映画.comより
以上、フィルマークスより引用。
アベンジャーズシリーズが完結して、仕切り直しての新シリーズになるのでしょうか、不安と期待が混じった気持ちで映画館に足を運びました。
『アベンジャーズ』シリーズは、仲間が集合して一つのチームとして機能するまでの過程を描いているのに対して、この映画は『エターナルズメンバー全員集合』からスタートする映画だったのですが、手話で会話するマッカリ、同性愛者であるファストスの描き方を見た時に、「マーベル流石だな。」と思いました。
どちらも、ごく自然な事として周りは認識しているので、とやかく言わないのが良かったですね。
そんな事は当たり前だから、言うまでもない感じが見ていて心地良かったです。
ここから私事なのですが、アベンジャーズエンドゲームを鑑賞した時、映画界に10年近くの間、話題と収益をもたらしてきたので、アカデミー賞で功労賞とかで表彰されるのでは無いかって勝手に思っていたのですが、その年のアカデミー賞で存在が無かった事にされているのを見て、アカデミー賞の投票券を持つ人にとって、マーベルシリーズの作品は映画として下に見ているではないかと思いました。
※後日調べたところ、マーベル作品自体は、アカデミー賞ノミネートはされている映画もあり、アカデミー賞以外では数々の賞に輝いている事を知りました。
実際に、マーティン・スコセッシ監督が「マーベル作品をシネマだとは思わない。」という発言をしてたりもするので、そういう面もあるのでは無いかなと思った次第。
マーベルは映画界で下に見られている=なめられている事を客観的に認識したうえで映画界の表現のアップデートを推進させる事を意図的にしているというのが、私の推測です。
長々と書きましたが、マーベルの『お前らが下に見ている映画だけど、このLBGTQに対する表現やアプローチはやっているんでしょうね?』という映画界に対する牽制のようにも見えて、気骨があるなと勝手に思いましたな。
エターナルズが完璧な存在と描いていないのも印象的で、セルシはエターナルズのリーダーに任命されて戸惑っているし、成長出来ない事にスプライトは憤りを感じていたり、セナが我を忘れて暴走するのを、必死で止めるギルガメッシュであったりと、それぞれ葛藤や不安な部分を持っていて、それって人類の課題や葛藤と重なる部分もあるので、キャラクターに感情移入しやすかったです。
他にも、無駄なキャラクターが存在しない部分も、マーベル脚本の神髄を見たというか、例えば役者として活躍しているキンゴのマネージャーであったり、凡庸な映画だったら、マネージャーは戦いに巻き込まれて退場させるような展開にしても問題は無いのでしょうが、この映画はそれをしない、それどころか、あるエターナルズを弔う際に必要な役目を与える訳です。
最後に、これからの物語の中心に関わらせてくるあたりを見て「キャラクターをほったらかしにせずに、救い上げるなぁ。」と感心しました。
エターナルズのような超越した存在と共に、その世界には普通の人たちも存在していて、そこをピックアップしていることに感情が動かされました。
その卓越した科学力で、人類のテクノロジーと技術の進化を後押ししてきたファストスが、広島の原爆に対して現地で後悔するシーンを見ながら、これはアメリカ映画史に刻まれるトピックスなるのではないかと思いました。
こちらの情報によると、2005年の時点でアメリカ人の約6割が原子爆弾を投下したことは正しかったというアンケート結果が出ています。
今だと、もう少し数字は変動しているのかもしれませんが、今回これが世界中で見られることに対して、これからの10代、20代にむけてのメッセージとしても希望を持てるのではと思った次第です。
ハリウッド映画で扱われる原子爆弾は、どこか100トン爆弾のように扱っているのが個人的に気になっていました、あと安易に爆発させるし、爆発させたら100年単位でその海近辺は漁も出来ないし、周りの島や国では健康被害も起きるし、そういう映画を見るたびに、放射能汚染舐めなよ!!!という思いと同時に、そのリアリティの無さがノイズとなって楽しめなくなることもありましたので、尚更そう感じたのだと思います。
ここからは、重箱の隅を付くような些細な事柄になりますが、ディヴィアンツが、エターナルズの特技を吸収する描写は面白かったものの、ヴィランであるディヴィアンツとエターナルズがどれくらい強いのかが分かりにくかったです。
ここに他のマーベルヒーローが登場すれば、強さの度合いを計れるのですが、この映画では2組しかおらず、巨人のセレスティアルは地球を破壊するスケールの大きさなので、強さ以前の問題のため、最後まで強さが分かりにくい部分が気になりました。
後、セレスティアルが、セルシに凍結された時に「何か、エヴァンゲリオンぽいな。」と感じたり、セレスティアルが解凍された動き出した際に、挟まっていた部分の隙間が空くので、津波が起きるのでは無いかと思ったりしましたが、全体的に楽しめましたので、おススメ度は94となりました。
エターナルズ自体はこれで完結されるらしいのですが、これからのエターナルズの面々がマーベル作品に絡んで来ると思うと、期待に胸が膨らみます。