ディア・エヴァン・ハンセン

 

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おススメ度 65

 

※この映画が好きな方にとって不快な文章になりますので、ご注意ください。

 

 

www.youtube.com

 

あらすじはこんな感じ

 

解説

トニー賞で6部門を受賞し、グラミー賞エミー賞にも輝いたブロードウェイミュージカルを映画化。監督を「ワンダー 君は太陽」のスティーブン・チョボウスキーが務め、ミュージカル楽曲を「ラ・ラ・ランド」「グレイテスト・ショーマン」「アラジン」など大ヒットミュージカル映画に携わってきたベンジ・パセック&ジャスティン・ポールが担当。学校に友達もなく、家族にも心を開けずにいるエヴァン・ハンセンが自分宛に書いた「Dear Evan Hansen(親愛なるエヴァン・ハンセンへ)」から始まる手紙を、同級生のコナーに持ち去られてしまう。後日コナーは自ら命を絶ち、手紙を見つけたコナーの両親は息子とエヴァンが親友だったと思い込む。悲しみに暮れるコナーの両親をこれ以上苦しめたくないと、エヴァンは話を合わせ、コナーとのありもしない思い出を語っていく。エヴァンの語ったエピソードが人々の心を打ち、SNSを通じて世界中に広がっていく。エヴァン役をミュージカル版でも主役を演じたベン・プラットが演じるほか、ケイトリン・デバー、ジュリアン・ムーアエイミー・アダムスらが脇を固める。

以上、映画.comより

 

フィルマークス映画より

 

チラシには『ラ・ラ・ランドのスタッフが集結。』のような事が書かれていたのですが、そうすると『ラ・ラ・ランド』のイメージがどうしてもの頭の片隅に出てしまうし、制作者からすれば『ラ・ラ・ランド』から離れた映画を制作したいはずなので、あまり広告効果に結びつかないのではと思いました。

 

ミュージカル舞台の映画化というので、冒頭からエヴァンハンセン役の歌から始まるのですが、ミュージカルシーンは全て良かったですね、それ故に、ドラマパートの脇の甘さが目立ってしまっていると感じました。

 

そもそも、コナーが自ら命を絶ってしまい、遺品にハンセンが自分自身にあてて書いた手紙があったことから、ご遺族がハンセンの事を唯一の親友と勘違いをいしている状況だから、対面した時にちゃんと説明しろよって思いました。

 

このミュージカルは優しい嘘から始まる物語というのは理解できるし、ハンセンが会話するのが苦手なのも分かるのですが、そこは説明しなきゃ。

その結果、話が大きくなっていって、どうしようと言われても「そりゃそうなるよな。」としか思えなかったです。

 
あと、ハンセンの嘘から、コナーが幼少期に家族で行っていた果樹園をクラウドファンティングで再開させるため活動がスタートするのですが、その時もハンセンは事実を言えずに、話が大きくなっていく訳です。
その活動の中心にいるクラスメイトから、コナーと本当に親友だったのか詰められた時に、ハンセンが遺族以外に見せていない、自分に充てて書いた手紙をそのクラスメイトに送信するんですよ、送信。
その結果、期日が迫っているのにクラウドファンティングの金額が届かない事に悩んでいたクラスメイトが、その手紙をSNSに公表する訳ですが、全員行動が迂闊すぎて感情移入が出来ませんでした。
 
そもそも、ハンセンが手紙の写真を送信してどうする、直接携帯電話から見せれば良かったのに、そりゃあそうなるよとしか思えなくて、結果的にその手紙が拡散されてコナーの家族が誹謗中傷される訳で、SNSにおける悪手の連続にシラケてしまいました。
 
ハンセンが状況を把握して、フェイスブックに事実を動画でアップすることで終息させたという表現になっていましたが、現実的にそれでは終息しないし、炎上し続けるでしょうよ。
 
この物語の肝として、コナーがどんな人間だったのかを掘り下げて、そこで、学校以外のコミュニティで繋がった人たちの交流があったとか、そこであったエピソードがあってこその、最後にギターを演奏して歌を披露するコーナーの動画に心を打たれる訳で、映画内では学校内で粗暴で何考えているか分からず、ギターを奏でながら静かな曲を歌うという人物像でしかなく、これで、最後果樹園を再開しました。は物語的に全く乗る事ができませんでした。

 

            実際のコナーは、粗暴で、薬物依存をしていて、12歳だった妹を呼びつけて金を無心したり、殺すぞと言って妹のドアを壊そうとするなどの、碌でも無いクソ野郎のエピソードしか無いので、コナーの妹が不憫で仕方がありません。
            映画内で妹の精神的なフォローをしていないので、兄から酷い目に合って来て、追悼の気持ちになれないと公言出来ない息苦しさって本当に辛いだろうなと思った次第です。
            正直、私が妹だったら穏やかな顔でギターを演奏しているコナーを見たら、家族の私にはそんな穏やかに接しないのに、他人にはそういう態度で接するんだと思い、立腹します。
            書いていて、器が小さいなぁという自覚があるのですが、遣り切れない思いは募ります。
            しかし、この映画内での、自分や親友が苦しい時、困った時は一歩踏み込んで声を掛けたり、思いを発言しよう。

          というメッセージは真っ当だし、大事な事だと思います。
実際には、コナーのようにブチ切れて来る人間もいるので、誰彼構わずって訳にはいかないでしょうが。

言える事は、この映画と私の相性が良く無かっただけで、響く人には響く映画だと思います。

何回も書きますが、ミュージカルシーンは本当に良かったです、そこはおススメいたします。