ジョン・ウィック:コンセクエンス

 

 

おススメ度 98

※ネタバレあり

 

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解説

キアヌ・リーブスが伝説の殺し屋に扮した大ヒットアクション「ジョン・ウィック」シリーズの第4弾。

裏社会の掟を破り粛清の包囲網を逃れたジョン・ウィックは、裏社会の頂点に立つ組織・主席連合から自由になるべく立ちあがる。主席連合の若き高官グラモン侯爵は、これまで聖域としてジョンを守ってきたニューヨークのコンチネンタルホテルを爆破し、ジョンの旧友でもある盲目の暗殺者ケインをジョンのもとへ差し向ける。そんな中、ジョンが日本の友人シマヅに協力を求めるため、大阪のコンチネンタルホテルに現れる。

共演にはイアン・マクシェーンローレンス・フィッシュバーンらおなじみのキャストに加え、グラモン侯爵役でビル・スカルスガルド、ケイン役でドニー・イェン、シマヅ役で真田広之が出演。前3作に続きチャド・スタエルスキ監督がメガホンをとった。

2023年製作/169分/R15+/アメリ
原題:John Wick: Chapter 4
配給:ポニーキャニオン
劇場公開日:2023年9月22日

以上、映画.comより引用

 

冒頭のジョン・ウイックの正拳突きのシーンとキングがセリフを言いながら登場するシーンを見て、この映画は傑作になると思った。

 

家族や親友にこの事を言ったら「流石に早すぎるだろ。」と言われましたが、そう思わずにはいられなかったし、その勘は的中していました。

この映画を観て、真田広之がハリウッドで躍進する事を確信したので併せて書いておきます。

そういう事ですので、ハリウッドで映画を撮影している監督の皆様。

真田広之へのオファー、お待ちしております。


口に出して言いたい言葉『コンチネンタル大阪』


真田広之演じるシマヅが支配人として運営しているホテル。もし、本当にあったらSNSでバズっても不思議じゃないくらいのオリエント色が強いホテルなのですが、シマヅが厨房を歩くシーンで、料理人が思いっきり中華鍋を振っていたり、戦いの準備前に、戦闘員が業務用冷蔵庫を開けると、長ドスが剥き身で並んでいたり、手裏剣が綺麗に収納されていて「手裏剣はそう収納されるのか。」と思いました。
あと、ボディーガードは二人の巨大な力士でした。

長ドスはいいとしても、手裏剣って、あとボディーガードが巨漢な力士って。見ていて楽しかったけど。

多分ジョン・ウイックシリーズの国の描き方はかなりデフォルメされていて、その国の人達が「そんな訳ねーだろ。」という突っ込みありきで作成しているような気がしましたな。


ここで活躍するのはドニー・イェン演じるケインなのですが初登場でありながら『皆様ご存じ感。』の雰囲気を出してくるのは流石でした。


仕込み杖を駆使する盲目の殺し屋という役回りで、どうしても座頭市を連想するのですが、そこにカンフーアクションという新しい風を取り入れて、強烈な存在感を放っているのが圧巻。


最初に登場するシーンだと、本当にくたびれた感が出ているおじさんにしか見えないのですが、侯爵にジョンウイックの暗殺の命令を受けてからはポスターにあるようなスーツ姿で登場した瞬間に「コイツは、強い・・・」と思わずにはいられませんでしたね。

厨房で杖を頼りにセンサー付きインターホンを等間隔に張り付けて、敵が通ると同時に音が鳴るのを聞いて攻撃するアクションシーンも良かったですし、余裕ある振る舞いが『絶対的な強者』って感じがしますし、敵役でありながら魅力的な存在感もありました。

 


防弾スーツって科学的にどうなのよ?

ジョン・ウイックの世界では銃弾スーツなるものがあるので、接近して銃を撃ってもスーツで銃弾を弾く事ができます。

なので、相手を仕留めるには接近して白兵戦に持ち込む必要があるので、関節技で相手の動きを封じてからヘッドショットが多くなるのですが、この防弾スーツと言うアイディアを思いついた時点で、ジョン・ウイックシリーズ特有のアクションシーンが誕生したととも言えるのです。
この映画を観た人の中には素朴な疑問で「防弾スーツって現実に無くないですかね?」と思う人もいるかも知れない。まぁ、それは、ほら、これ映画なので・・・


ただの木偶の坊はこの映画に誰一人として存在しない。

 

この映画に登場するジョンウイックの敵役は誰一人として、動けない人物がいないのも地味に凄い。

ひと昔前のデカい大男というだけでは映画に出演するのが厳しい世界になっているのを見ると、役者の世界もアスリート化が進んでいて、難儀だな。と思ったり思わなかったりしました。

そんな中で一番の驚きと言ったらキーラと言っていいだろう。
巨漢で喘息持ちで吸引機を使用していると見せかけて、このキーラが動く動く、回し蹴りもジョンウイックに決めるし、観ていて何者?と思いました。


調べてみると、スコット・アドギンスという武闘家でもあり、スタントやアクションで活躍している俳優だという事を知りました。道理で動きがキレキレな訳だ。


今回の映画では、特殊効果で太っているように見せているらしいのですが、もう太っているようにしか見えないのが地味に凄い。

 

それに侯爵関係者が着こなしているスーツを観るにつけて、スーツに詳しくない私でも「これ購入すると数百万はするよな。」と思うくらいの代物を見事に着こなしていて、これも目立たないが地味に凄い。

 

フランス編は映画館で観る価値あり。

 

一本の映画で、夜のエッフェル塔をバックにこんなにも人が車に跳ねられるシーンを観たのは映画体験でも初めてだった。

ただ人が跳ねられるのではなくて、相手を車に跳ねさせる流れをアクションシーンに組み込ませたのが、この映画の白眉ともいえるシーンでした。
ジョン・ウイックも普通に車に跳ねられて高い所から落ちているけど、とりあえず元気です。

惜しむらくは、大阪でも地域を特色を出した場所でのアクションシーンをしてほしかった。
道頓堀でのアクションシーンとか見たかった、流石に道頓堀からダイブさせるわけにもいかず現実的に難しいのも理解できますが、せめて通天閣前でのアクションシーンがあればいいのになぁ。なんてぼんやりと思った次第です。


一対一の対決ってこんな感じで決まるのか。

 

一対一の決闘するシステムは前回にあったけ、と思いつつ鑑賞していましたが、あっても無くても大丈夫なのはこのシリーズの良いところ。

 

一対一の決闘ルールを決め方は、机に並んであるトランプを模したカードを希望する決闘方法を宣言しながら捲り、数が大きい方の対戦方法が採用されるルールなのですが、このシーンがが始まった時は、これから『カイジ』や『嘘食い』のようなジョン・ウイックのデスゲーム・ギャンブル編が開始されるのかと思いました。

それにしても、侯爵役のビル・スカルスガルドが、プライドが高い侯爵を見事に演じていて、それが最低に嫌な奴で最高でした。


調べてみると映画『IT』でのピエロを演じているのを知り、演技力の高さに納得しました。

結局カードの結果、夜明けの寺院で銃を使用して同時に打ち合って決着。という事になるのですが、この侯爵が急に「ケインが代役で戦う。」と宣言する感じとか、これも嫌な感じ全開の演技が良かったです。


ケインが「俺が戦うの?」という感じになっていましたが、対戦方法が決定する場にいて、侯爵が「決闘に使用する武器は剣。」とか言っている時点で気が付くんじゃないの?とか思いましたが、これも些細な点なので問題無いです。

決闘の寺院向かうジョン・ウイックに対して、侯爵はジョンウイックに莫大な賞金を懸けて、フランスの荒くれものたちに命を狙うように仕向けますが、それをかいくぐり、階段を上ると決闘場まで近づいたものの、侯爵側の陣営から蹴り落されて階段を転げ落ちるジョン・ウイック。
観ていて、最後の方は自分から階段を転げ落ちていない?と思うくらいの転げっぷり、迫る待ち合わせ時刻、最早これまでか、と思ったところでケインが登場、二人で侯爵側の陣営をなぎ倒しながら会場に向かいます。

寺院の決闘では、ケインとジョン・ウイックが背中合わせに30歩進んでから銃で撃ちあい、その都度10歩ずつ近づいて、最後お互い10歩の距離まで近づいて撃ち合ったたところで、銃弾に倒れるジョン・ウイック。

それを見た侯爵が止めを差すために、ケインの銃を借りてジョン・ウイックに銃弾を向けるのですが、ジョン・ウイックは銃を発砲しておらず、侯爵の額に銃弾を発射して侯爵を仕留めます。

見届け人もルール内の行動とみなし、晴れてケインとジョン・ウイックは自由の身となるのでした。

 

因果の報いを受けなくてはならない。

 

決闘に勝利して寺院の階段に腰を下ろしてそのまま横になるジョン・ウイック。

そして、キングとウイストンの手により荼毘に付され、ジョンウイックの墓が妻の隣に建てられ、墓標には『最後まで妻を愛した男。』と書かれているのは感情がグッとこみ上げてきましたし、妻の墓標には『最後まで夫を愛した女。』とも書かれていて、ここでジョンウイックの物語が完結したんだと思うと、感慨深いものがありました。


最後のケインのシーンは、最初必要かな?と思いましたが、ジョン・ウイックシリーズには、暗殺者として人を殺めた因果からは逃れられないというテーマがあるので、その報いを描いていると言えるのですが、せっかく盛り上がって映画が終わったのに・・・などと、あれこれと思いました。

 

この映画は何でもありなので、エンドロール最後の映像でジョン・ウイックの墓から手が飛び出してきて『ジョン・ウイック』は戻ってくる。というテロップで終わったとしても全然飲み込みますが、この作品が完結したのをスクリーンで体験出来て感無量でした。

結構大切な情報として、この映画にはジョン・ウイックの命を狙う『何物でも無い男』ことミスターノーバディーが犬を連れて戦うのですが、その犬が車に跳ねられるシーンがあります。


しかし、安心してほしい。怪我一つしていないし、最後まで元気です。

 

この映画を冗長と捉えるか、人間ドラマを丁寧に描いてると捉えるかで感想が真逆になる。

 

上映時間が約3時間あるので、実際に長いのは確かなのですが、アクションシーンは丁寧に描くのに対して、ドラマパートが世話しなく進んでいくという、アクション映画特有の物足りなさを感じていた方なので、逆にこの映画は新鮮でした。

タイミングがあえば吹き替え版でも鑑賞しようと思ったのですが、9月30日現在、日本語吹き替え版の情報が無いのが気になります。


DVDや配信などで吹き替えはあると思うのですが、スクリーンで吹き替え版を見られないのは、凄く惜しいし勿体ない。

 

アマゾンプライムでジョンウイックシリーズが配信されているので、興味ありましたら全シリーズを鑑賞して映画館へと足をお運びください。

 

時間が足りないという方は、こちらをご覧になってから映画を鑑賞した後で、ジョン・ウイックシリーズを見てはいかがでしょうか。

※ネタバレしています。

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