クリード過去の逆襲

 

 

オススメ度 40

 

※ネタバレあり。

 

 

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解説

「ロッキー」シリーズを継承したボクシング映画「クリード」のシリーズ第3作。マイケル・B・ジョーダンが前2作に続いて主演を務め、本作では自ら長編初メガホンをとった。

かつてロッキーが死闘を繰り広げた親友アポロの息子アドニスクリード。ロッキーの魂を引き継ぎ世界チャンピオンとなった彼の前に、刑務所から出所した幼なじみのデイムが現れる。2人はかつて家族同然の仲間であったが、デイムはクリードの少年時代のある過ちによって18年間の服役を強いられ、復讐心に燃えていた。クリードは封印してきた自らの過去に決着をつけるべく、デイムとの戦いに向けて猛トレーニングを開始する。

クリードの幼なじみで最強の敵となるデイムを「アントマン&ワスプ クアントマニア」のジョナサン・メジャース、クリードの妻ビアンカを前2作に続いてテッサ・トンプソンが演じる。

2023年製作/116分/G/アメリ
原題:Creed III
配給:ワーナー・ブラザース映画

以上、映画.comより。

 

『ロッキー』では主演、脚本を担当したスタローンに対し、今作品のマイケル・B・ジョーダンは、主演、監督を担当している事に関して、誠に勝手ながら、スタローンに対抗意識を燃やすマイケル・B・ジョーダンを想像して、その心意気や良し!!と思った次第でございます。

 

大事なピースが埋まらない。

 

この映画には、ロッキーは一切登場しないのですが、ロッキーの痕跡が無かったくらいに、存在感がありません。

ロッキーが経営しているレストランの看板さえワンカットも無い、クリードが経営しているジムは、壁に現役時代のアポロが大きくプリントされているが、ロッキーがいない。

映画を見ながら「あれ、クリードの映画内で、ロッキーって逝去してた?」と一瞬思うくらいにロッキーの気配が無い。

 

この映画のタイトルにもある『過去の逆襲』とあるように、クリードが子供の頃に起こした事件がテーマになっていて、これがきっかけで、幼なじみのデイムが刑務所に服役する事になるのですが、これ、10対0どころか、1000対0で、クリードが原因で、デイムは悪くない。

デイムはとばっちり受けて、刑務所に行く事になったうえに、面会にも来ないという、どう考えてもクリードが悪い。

クリードを擁護するなら、アポロの家に養子として来る前に住んでいた家では、父親から酷い虐待を受けていて、その父親だった人間と、街でバッタリ出会った時に、衝動的に殴りかかってしまった事については、気持ちは分かる。分かるが、それ切っ掛けで、パトカーが集まってきて、デイムが牽制のために銃を構えた事がきっかけで逮捕されて、クリードは逃げ帰ったら駄目じゃない。という話。

 

だからこそ、デイムが出所して、初めてクリードとレストランで合うシーンが凄く切ない。

出所したらもう一回、プロボクサーとしてカムバックして、世界チャンピョンになる夢を語るデイム。それを演じる、ジョナサン・メジャースの演技も相まって、哀愁がとてつも無い。

過去の出来事を持ち出して「俺をプロボクサーにしてくれ。」とクリードに懇願する

デイム。

クリードもデイムもぎこちなく、会話も途切れていく。

沈黙に耐えられなくなったクリードが、「何かあれば、力になる。」と言いながら、お札を渡そうとするのを、デイムは「施しが欲しくて来たわけじゃない。」お札を受け取らないシーンは、緊張感があった。

ここまで見て、やはり思った。ロッキーは何故いない?

もし、この映画にロッキーがいたら、クリードがデイムと再会した後で、ロッキーに相談したらロッキーはこう言うはずだ。「馬鹿野郎、いますぐ謝罪してこい。CV羽佐間道夫」と言われて、デイムに謝罪しにいけば問題が解決するのに。

その場合は、この映画は30分で終わる事になる。

 

この映画にロッキーが登場する事がない、だから、延々とクリードが悩み続ける事になるのだが、この原因を作ったのはクリードなのに、何を悩む事があるのか、ただ謝罪したくないのか?と思うくらいだ。

 

デイムがクリードに会いに来た理由は、心からの謝罪をして欲しかったからで

はないのか、少なくとも私はそう思った。

 

私は、チャドVSドラゴが見たかった。

 

クリードも負い目から、デイムをジムの練習パートナーとして受け入れる事に。

 

クリードのジムには、現世界王者でありながら知名度は今一つのチャドが在籍しているのですが、今度の世界戦のチャレンジャーは、前作のクリードのライバルであった。ドラゴの息子。

前評判も良く、チケットも順調に売れているなか、対戦相手を含めた関係者のパーティが開かれているのですが、そこで、ドラゴが暴漢に襲われて拳を骨折するはめに。

 

急遽、対戦相手を探す必要を迫られたクリードが白羽の矢を立てたのが、デイムだったという。このシーンを見た時に、この映画、なろう系小説が原作だっけ?と思いました。

映画のタイトルも『クリード過去の逆襲』ではなくて「20年近く刑務所で過ごした後で、世界ボクシングチャンピョンになった件。」というタイトルが正式だっけ、というくらい現実感が無い。

 

しかも、ドラゴを襲って手の骨を折った暴漢はデイムとグルだった。
この事実が表ざたになったら、チャレンジャー剥奪されるだろうに。

とはいえ、そこは映画なので、急にリアリティラインの話をした所で、何とかなるものでもないですが、デイムのプロデビュー戦が世界タイトルマッチという破格の扱いとなる訳ですが、デイムのボクシングに対して真摯に取り組む姿勢は本物であって、世界タイトルマッチの体の仕上がり具合は一見の価値があります。

 

ひとつ気になった事は、デイムとチャドの試合は会場満員なんですよ。

チケットの原い戻しを防ぐために話題性を優先させたとしても、こんなに会場埋まるのか?疑問に思った次第です。


せめて、チャドVSデイムは会場の入りが半分くらいで注目されていない中、チャドを倒すデイム、その後のマイクアピールで、次の挑戦者にクリードを指名する。

そして、ネットや新聞の表紙を賑わしてからの、クリードVSデイムで会場が超満員の方が、物語と会場の盛り上がりがリンクする事も出来て効果的なのでは思いました。

映画を撮影した事も無い人間に、こんな事を書かせるんじゃないよ。

純粋に楽しみたいだけなんだよ、私は。

 

ただ・・・映画開始早々にクリード早く謝れよ。と思ったまま、映画が進むのでモヤモヤするのは相変わらずで、クリードが過去の過ちと向き合わず、相手を倒す事で解決するような話の展開は、終始見ていてストレスでしたし、鑑賞しながら「早く謝れよ。」と思っていました・

試合はクリードが勝ち、控室で一人座っているデイムの隣に座り、初めて謝罪の言葉を口にするのですが、何を今更感は強かったです。

 

ドラゴの代わりにデイムが相手をする事を知らされたボクシングのセコンドが「サーカスじゃないんだ。」と激高するシーンは至極真っ当で、ボクシングに関わっている人に対して失礼そのものだと考えての発言だと思うのです。

 

しかしこの映画の対戦カードが、デイムVSチャド、3年ぶりの現役に復帰するクリードVSデイムなので、これこそ、話題作り優先のサーカス興行そのものではないか。と思いたくなくても、思ってしまいましたよ。


私なら、チャドVSドラゴを見たい。見たい!!!!

 

スタッフロール後にアニメが上映されるたのですが、クリードの子孫は火星に行くようです。

クリードはボクシング映画ではなく、これからはSFボクシングアニメに移行するのには驚きを越えて、唖然としました。


これこそ『Shinjidai』の幕が上がったという風に解釈しましたが。どうなんでしょうか。

 

映画の冒頭に、丁寧にスタッフロールの最後にアニメが上映されます。と表示されていたとはいえ、まさかSFに舵を切るとは思わなかったので、上手く状況を呑み込めない私がいました。

 

安易に、この映画は駄目だ何て言いたくないのですが、最後のアニメパートは何だったんだ。というのは素直な感想です。

上映時は、私の他にもう一人いたのですが、私と同様に頭から?マークを出して映画館を後にしていました。