機動警察パトレイバー the Movie

機動警察パトレイバー 劇場版 [Blu-ray] 

 

おススメ度 97

 

公式の劇場版予告が動画で無かったので、各自検索して調べていただけると幸いです。

 

あらすじはこんな感じ。

 

1999年夏。自衛隊の試作レイバーが突如無人のまま暴走するという事件が発生する。しかし、それは相次ぐ事件のほんの幕開けに過ぎなかった! 何者かが仕掛けたコンピュータウイルスによって、都内各所で作業用レイバーが次々と暴走。警視庁特車二課第2小隊のはみだしポリスたちは、姿なき犯人を追ってこのメガロポリスを駆け抜ける!

 

 

監督

脚本

 

 

夏になると、見たくなる作品ってありますか? 

私はあります。

 

※映画のネタバレがありますので、未見の方はご注意ください。

 

 

今回、1989年に発表した押井守監督のパトレイバー劇場版をおススメしたいと思います。

 

 

ウィンドウズ95が一般家庭に普及したことを考えれば、1989年にコンピュータウイルスをテーマにしているのが凄いと思います。

 

何より、当時鑑賞した時は、OSやパソコンの知識が無くても、エンターテイメント映画として楽しんでみていたのを思い出します。

 

この映画は、レイバーが暴走する原因を、遊馬が探るミステリーパートの前半と、後半、箱舟解体するためにレイバーが施設に乗り込むアクションパートで構成されているのですが、ちゃんとミステリー要素を残したまま、アクションパートに移行しているのが良い感じでした。

 

前半部分は、遊馬の話と同時進行で、刑事二人が帆場映一が住んでいた住居の足取りを追うシーンがあるのですが、そこには都市開発で壊されていく街並みが映し出されていて、都市開発で住居を出ざる得ない体験は無いのに、郷愁の思いを感じさせます。

 

他にも、外で刑事二人が腰を下ろしてジュースを飲んでいる場所が、かつて銭湯だった湯船の残骸であったりと、体験していないノスタルジーに共感して、胸を打たれるのです。

 

後半の箱舟解体のパートも、箱舟の解体作業中に、無人の管制室に何者かが動いていて、検索の結果「E・HOBA」と表示されるところは、ホラー的でもあったし、それが物語の推進力として効果を発揮しているの良かったです。

 

私が個人的に印象的だったのが、整備員のシバシゲオと遊馬が、シバシゲオの自宅で、レイバー暴走の予測範囲をパソコンでシュミュレーションしているシーンでした。

 

東京一体のマップに、暴走する範囲が赤い円で表示されるのですが、何度やっても予想範囲は小さい円にしかならず、手詰まり感がでている状態。

 

差し入れに来た泉野明が、コーヒーを入れるため、ガスコンロに火を入れると、ガラスが共鳴したことに気が付いた遊馬、前に箱舟の設計図のバックアップを取っていたことに気が付いて、箱舟のデータを元にレイバーの暴走範囲を特定した後で、シュミュレーション画面一杯に広がる赤い円の大きさのインパクトと、不穏で緊迫した音楽、そしてこのシーンの声優の演技どれをとっても良い。

 

DVDで映画を鑑賞する際の良し悪しの基準として、『映画館で体験したかった映像や場面あるか。』というのがありまして、この映画を鑑賞するたびに、映画館で見たかったなぁと感じさせる名シーンだと思います。

 

後半のゼロ式登場からの、朝日をバックにしたイングラム1号機とゼロ式が対峙するシーンはこの映画を彩る名シーンですし、最後の箱舟解体したあと、ヘリコプターが救援に向かうのを見上げる特車二課の面々、それと同時に音楽と共にスタッフロールの流れは何度見返しても、テンションが上がります。

 

映画内が夏であることと、台風が物語に影響することもあって、真夏になると私は、この映画を無性に見たくなるのです。

 

暑い日に、かき氷を食べたくなるように。

 

うだるような暑さは、涼しい部屋でDVD鑑賞などはいかかでしょうか。

 

ゴジラVSコング

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おススメ度 89

 

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あらすじはこんな感じ。 

あらすじ

モンスターの戦いによって壊滅的な被害を受けた地球。人類が各地の再建を計る中、特務機関モナークは未知の土地で危険な任務に挑み、巨大怪獣の故郷<ルーツ>の手がかりを掴もうとする。そんな中、ゴジラが深海の暗闇からその姿を現し、フロリダにあるハイテク企業エイペックス社を襲撃、世界を再び危機へと陥れていく。ゴジラの怒りの原因は何なのか。エイペックス社CEOのウォルター・シモンズ(デミアン・ビチル)はゴジラの脅威を訴える。モナークとエイペックスは対抗措置として、ネイサン・リンド博士(アレキサンダー・スカルスガルド)やアイリーン博士(レベッカ・ホール)のチームを中心に、コングを髑髏島<スカルアイランド>から連れ出し、怪獣のルーツとなる場所を探ろうとする。 人類の生き残りをかけた争いは、ゴジラ対コングという最強対決を引き起こし、人々は史上最大の激突を目にすることとなる。故郷を求めるコングと唯一心を通わせる少女ジア。一方、ゴジラを信じ、その真意を探ろうとするマディソン(ミリー・ボビー・ブラウン)と級友のジョシュ(ジュリアン・デニソン)、そしてエイペックスの陰謀説を唱えるバーニー(ブライアン・タイリー・ヘンリー)は行動を共にしてゴジラを追う。人類になす術はないのか—。エイペックスの研究員で故芹沢猪四郎博士の息子である芹沢蓮(小栗旬)の秘めた想いや目的とは?怪獣を取り巻く人間たちの思惑が錯綜する。ゴジラとコング、彼らは人類の味方か、人類の脅威か。自然界最強の力が激突する、地球の存亡を委ねた壮大な戦いが始まった。彼らはなぜ戦うのか—。果たして、この頂上決戦の勝者は—。

※映画の内容に触れますので未見の方はご注意ください。
 
 

オープニングからコングのモーニングルーティンを見ることができるとは思いませんでした。

起床して雄大な自然の中、滝をシャワーのように利用している様は、アメリカの頑固親父のごとく、その流れで木を引っこ抜き、先をとがらせてからやり投げの要領で空高くぶん投げたと思ったら、自然の映像にヒビが入って、そこは、コングを隔離している専門の施設だった。

という話の展開には期待が高まりました。 

 

この映画は、巨大怪獣が取っ組み合いの大喧嘩をする映画なので、怪獣が登場するシーンは良いのですが、しかし、人間ドラマになると映画の推進力が落ちてしまうのが気になったところでした。

例えるならば、ターボエンジンを積んだF1レースを楽しみにしているに、そこに三輪車で割って入ってくるようなものなので、誰もそこに期待していないだろうと思ってしまいました。

監督も人間ドラマに対して思い入れがないのか、この映画のボス役がウイスキーのロックを飲みながら作戦を見ていたりする。

命の危険がある可能性が高いのに飲酒なんかするなよ、と思ってしまいました。

他にも社長の娘がエネルギーを回収するため同行して、最後コングに飛行機で攻撃したため、コングに飛行機ごと破壊されるのですが、これは映画における教訓的演出ともいえる手法です。

これは、ズルい事や、悪い事をした人間は最後に報いを受けるというもので、日本の時代劇などに見られる、勧善懲悪と言ったところでしょうか。

勿論、社長の娘も悪いのですが先程書いたように、この映画に置いて人間ドラマは誰も期待していない訳です。

この映画に置いて、映画の役目を終えた人間は、すぐに爆発に巻き込まれるか、怪獣によってフェードアウトされていく運びになっています。

ここからは憶測ですが、監督は人間ドラマをカットして、怪獣シーンに比重を置くことにしたと思うのです。

人間ドラマをカットしても、問題無いのはコングがドラマの部分を担っているから他ありません。

他にも、地球の中が空洞になっていて、そこにコングが住んでいた空間があるのだ。

という設定は、監督の「そうなのだから仕方が無い。」という潔さがあって好感が持てました、そこからの『コング久しぶりの里帰り。』シーンは良かったですね。

荒野を駆けるコング、良く分からない飛行生命体を叩きのめすコング、そして、仲間が居る場所に戻るも、仲間は全て滅んでいて、ゴジラの背びれを加工した手斧を手に取り、玉座に座るシーンは、哀愁を感じました。

そんな感慨に浸っている所に、エネルギー派が流れ込んできて当たり一面が粉々になる。

コングがその穴を覗くと、そこにはゴジラの姿があった!!!!

地球の中心まで届く、ゴジラ放射能熱戦って兵器じゃんと思いましたし。

ゴジラにタイマンを挑むため、コングがその穴を通るのですが、中学生の時に、日本から地球の裏側まで穴を作成して、その穴を通過しようとしても、重力の関係で押しつぶされるって学んだですが・・・

そんなことは、監督からすれば、うるせぇ!!!そんなことは、わかってる!!! 

この映画は、科学的なアプローチと怪獣格闘シーンのどっちが重要ですか?

怪獣格闘シーンですよね!! ね!!!

だから、これで、いいんだよ!!!!

という叫びを感じたので、この件でアレコレ言うのは野暮ってもの。

 

ここからは、この映画の最大のネタバレである怪獣格闘シーンについての感想になります。

 

ゴジラVSコング 

第一戦

船上のコングVSゴジラ

戦いの感想。

船の上に巨大な手錠で拘束されたコングに対して、泳ぎは慣れているゴジラ、序盤からゴジラの攻勢で、船をひっくり返されて溺れるコング、ピンチ!!!

 

それを見た、船上員がコングの手錠を解除することで、コングピンチ脱出。

 

しかし、海上ではゴジラが圧倒的有利に進め、コンググロッキー状態。

 

人間が船のエンジンを全停止して静寂にすることで、ゴジラが戦闘意欲を無くした判断して、海上を去る。

よって、この戦い、勝者・・・ゴジラ!!!!

 

第二戦

香港の都会ど真ん中でファイト。

 

コングが狙うはゴジラのみ!!!!

第二戦のゴングが鳴った!!

今度は、平場での戦いになった。

第二戦を見て良かった点は、コングがちゃんとビルのてっぺんによじ登るシーンを入れているところでした。

 

過去作品のコングのお約束といえば、ビルをよじ登る描写。これに尽きます。

 

ちゃんと、ビルのてっぺんによじ登ってからの、高さを利用しての攻撃は良いシーンでした。

 

ゴジラも負けずに、インファイトの構えを見せる。

 

コングの手には、地球の空洞で手に入れた斧を手にしている、反則はファイブカウントまで有効なので、そのままゴジラに切りつける。

ゴジラ放射能熱戦で迎え撃つ、コングは斧を盾代わりにして防御するギリギリの攻防。

その結果、お互い吹き飛ばされてボロボロの状態となる。

ゴジラも満身創痍、コングも心臓が止まって動けない。

よって、この戦い、お互い一歩も引かずに、引き分け!!!!!

第三戦

引き続き香港の中心街。

芹沢とシンクロすることで動いていたメカゴジラが暴走を始める。

グロッキー状態のゴジラに対して、一方的な攻撃でゴジラグロッキー寸前。

ゴジラVSメカゴジラ

勝者、圧倒的火力でメカゴジラ!!!

第四戦

メカゴジラVSコング、ゴジラ

ゴジラとの戦いで失神状態のコング、主人公の機転で地球の空洞に行くための飛行物体を、コングの心臓にセットして放電。

それが、AEDの役割を果たして、コング復活!!!

ヒーローは遅れてやってくる。

メカゴジラにグロッキー状態のゴジラを助けて、共闘することに、ゴジラのアシストもあり、メカゴジラの止めを刺したのは、コング。

よって、勝者コング!!

終戦

メカゴジラの戦いを終えて、再び相まみえた、ゴジラとコング。

お互い牽制しつつも、ゴジラが静かに海に帰っていき、拳を交わうことなく終了。

 

総合成績

ゴジラ  1勝(船上でコング)1敗(メカゴジラ)1引き分け(都市部コング)

コング  1勝(メカゴジラ)1敗(船上でゴジラ)1引き分け(都市部ゴジラ

メカゴジラ1勝(ゴジラ)1敗(コング)

となりました。

絵にするとこんな感じ 

 

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これを見る限り、完全な三つ巴になっていました。

中学生からプロレスを追っかけて来た身としては、昨年公開された『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』と比べると、やや単調な部分が気になりました。

キング・オブ・モンスターズは、色々な種類の怪獣がいて、攻撃パターンが多かったので楽しめたのですが、それに比べて、タイプが似ている怪獣が戦うと、殴り合うか、叩きつけるかしかないのは致し方無いとは思います。

そこは、アントニオ猪木の「背もたれに深く座って見ている観客がいたら、前のめりにさせるような事をしなきゃいけない。」という言葉があるように、驚かせて欲しかった、贅沢を言わせてもらえると、殴り合いの前に、ロックアップが見たかった。

何故なら、これは怪獣プロレスだからです。

これが怪獣格闘技なら、タックルから馬乗りパンチして、うつ伏せになった所を、チョークスリーパーで締め落とせばいい訳で、戦いの効率やリアリティなんかどうでも良い、私が一番みたいのは外連味だ。

 

他にも最後、小栗旬演じる芹沢が、メカゴジラとシンクロで白目になるシーンはインパクトがあったものの、セリフがほぼないのが残念でした。

あれこれと書いてきましたが、怪獣同士の戦闘シーンは迫力ありましたし、映画としても楽しめました。

 

夏休みに、冷房が効いている映画館で映画を鑑賞するのも悪くないと思いますので、おススメですよ。

 

 

 

ピンポン

 

ピンポン Blu-ray スペシャル・エディション

 

おススメ度 100

 

 

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あらすじ

才能にあふれ、卓球が好きで好きでたまらないペコ。子供の頃から無愛想で笑わないスマイルにとってペコはヒーローだ。だが、ペコはエリート留学生チャイナに完敗。インターハイでも、幼なじみのアクマに敗れてしまう。一方スマイルは、コーチに才能を見い出され、実力をつけていく。現実の壁にぶつかったペコと強さに目覚めたスマイル。それぞれの道を歩き始めた彼らに、またインターハイの季節がやってきた…。  

 

夏になると無性に見たくなる映画ってありませんか?

 

私はあります。

 

そんな訳で、今回ご紹介したい映画は『ピンポン』です。

 

映画館では鑑賞しなかったのですが、数年後にDVDで鑑賞した時に映画館で見れば良かったと感じさせると同時に、原作の漫画を本屋で探し回るくらいの傑作でした。

当時、映画館の予告編を見た時に、嘲笑していた過去の私に「この映画、傑作だったぞ。」と言ってやりたい。

 

映画を見た後で原作も読んだのですが、映画で使用されるストーリーの取捨選択が完璧な事に驚きました。

 

必要なシーンを抽出しつつ、要らないシーンをカットして、なおかつ原作『ピンポン』の持つ色合いはそのままにする難しさ。

 

脚本のクレジットを確認すると『宮藤官九郎』の名前を見つけて、当時の私は脚本の仕事と、宮藤官九郎の手腕に驚かされたことを覚えています。

 

この映画の登場人物は、天才肌のペコこと月本、努力才能型の星野ことスマイルの二人を中心に物語が進んでいくのですが、その他にも、ペコとスマイルの幼馴染のアクマこと佐久間、日本で再起を狙う、中国からの卓球留学生チャイナこと孔文革(コン・ウェンガ)、そして常勝軍団、海王学園キャプテンのドラゴンこと風間竜一と多彩なメンバーが顔を揃えます。

この登場人物たちが持つ人間臭さが私はとても好きなのです。

一見、自信を漲らせ絶対王者の風格を漂わせているドラゴンでさえ、試合前に大専用トイレに佇んで、ひとり集中しているシーンが印象的だったりします。

 

完全無欠で無敵という訳では無く、それぞれ、葛藤や挫折、重圧を経験しながらも卓球と向き合うとする所に心を惹かれるのです。

 

大まかな物語の流れとしては、ペコの挫折からの復活と成長を描くスポーツ漫画の王道なのですが、20年前の作品なのにも関わらす、古臭く無いのが凄いと思うのです。

 

ペコもスマイルも挫折を経験して、そこから這い上がるためになりふり構わず努力をする訳です。

 

約20年前から、『努力って恰好悪い』という風潮があって、それは現在に脈々と受け継がれていると私は感じています。

 

その空気を否定し、努力を泥臭くも格好良く表現していることが、この映画の普遍的な魅力に繋がっていると思います。

 

この映画は、才能論と努力論の両方をを描いた傑作スポーツ青春映画だと思います。

 

この映画で一番感情移入したのは、アクマでした。

最初、いじめっ子的な感じもあって印象は悪かったのですが、次第に感情移入できる要素が多いアクマを見るうちに印象が変わりました。

 

自分に才能が無いと感じながらも、努力する辛さや残酷さを経験した人はアクマに何か思う所があるはず、そう思うのです。

 

猛暑になればなるほど、この映画を思い出すので、私にとって大事な映画です。

 

監督のコメンタリーで、「俳優の演技を前面に出したいので、出来るだけワンカットで撮影するように心がけた。」という事を言っていて、この映画の臨場感の秘密が解けた気がしました。

他にも、明らかに冬のシーンとして撮影しているのにセミの鳴き声が聞こえていたりしているのですが、そこでも監督は「最初セミの鳴き声が入るので、俳優に後で声を吹き替えしてもらおうと考えたが、演技の熱量を優先した。」という事を言ってます。

 

そこらへんは、鑑賞している間に気にならなくなると思います。

 

何故なら、監督が表現したい所は季節感では無いからです。

 

エンディング曲でもある『スーパーカー』の『YUMEGIWA LAST BOY』を聞くと、当時私が感じていた、何とも言えない脆さや、危うさのような、時代の空気を思い出させます。

この映画は、誰が何と言おうと私の中ではおススメ度は100なのです。

もし、興味ありましたら是非、ご覧ください。

 

原作と見比べても楽しめると思います。

 

ピンポン コミック 全5巻完結セット (Big spirits comics special) [マーケットプレイス コミックセット]

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ブラック・ウィドウ

 

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おススメ度  90

 

※映画のネタバレあります。

 

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あらすじはこんな感じです。

 

解説

アベンジャーズ」シリーズをはじめとしたマーベル・シネマティック・ユニバースMCU)の各作品で活躍した、スカーレット・ヨハンソン演じるブラック・ウィドウが単独で主役を務めた作品で、孤高の暗殺者だったブラック・ウィドウがなぜアベンジャーズになったのか、知られざる物語が明らかにされる。物語の時代設定は「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」と「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」の間で、ブラック・ウィドウがアベンジャーズから離れていた時期に起こった出来事を描く。ブラック・ウィドウの前に突如現れた、“妹”エレーナ。姉妹は、自分たちを暗殺者に育てたスパイ組織「レッドルーム」の秘密を知ったことで命を狙われる。唯一の味方は、かつて組織が作り出した“偽りの家族”だけだった。しかし、その家族の再会によってレッドルームの恐るべき陰謀が動き出す。エレーナ役は「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」でアカデミー助演女優賞にノミネートされたフローレンス・ピュー。監督は、「ベルリン・シンドローム」のケイト・ショートランド。2021年7月8日から劇場公開され、7月9日からDisney+でも配信(追加料金が必要なプレミアアクセスで公開)。

2021年製作/134分/G/アメリ
原題:Black Widow
配給:ディズニー

以上、 映画.comより

 

 

 

映画の予告編で知った時は、マーベル映画にとって箸休め的な位置にある映画だなと思っていたのですが、その後、コロナウイルスによる上映期間が延期し続ける状態になっていたので、こうして映画館で鑑賞できること自体が嬉しい訳です。

 

上映最初のマーベルのキャラクターが登場した後に表示される『マーベル』の文字を見て胸が一杯になりました。

 

上映期間が延期されたため、否応にも映画のハードルが上がっているので少し不安もあったのですが、そこはマーベル、一定以上のクオリティに仕上げてきていましたよ。

 

退屈させない構成と、アクション。そして映画のテーマやメッセージ性など、マーベルスタジオの健在を示した映画でしたね。

 

最初穏やかな日常から、一気に緊張感が上がる展開も良かったですし、基本アクションパートは飽きさせない工夫があって楽しめました。

 

ブラックウィドウが移動するたびに、街を空撮しているシーンにでっかいテロップで『ブダペスト』『ノルウェー』とか街の名前がでる演出があるのですが、丁寧に繰り返してくるので、お約束のギャクみたいになってきたあたりで、今回の敵であるスパイ組織の『レッドルーム』と表示された時は、テンションが上がりましたね。

 

映画を見ていて印象的だったのが、ブラック・ウィドウを初め、女性のセクシーショットが無かった事でした。

 

身体のラインを見せるだの、胸のアップのシーンなどの無意味なセクシーシーンが無いことが新鮮だったのです。

 

そもそも、観客として男性が多くて、監督も圧倒的に男性が多い映画界において、女性のサービスシーンは当たり前に撮影するものになっていたと思うのです。

 

セクシーシーンを映画から無くなれば良いと思ってはいません。

映画によって必要ならば撮影すべきだと思います。

 

レザースーツを着ていて、身体のラインが見えるデザインであるから、より監督は意識して撮影していると考えています。

 

他にも、今回の敵役でもある、スパイ組織レッドルームのボスでもある『ドレイコフ』が最悪でしたね。

 

女子を無数に誘拐しては、その中から素質のある人間だけを殺人マシーンのスパイに育て上げて、後は処分するというクズっぷり。

 

この男が、ブラック・ウィドウやその他のスパイに施した手術に置いては、最低、最悪の人権侵害なので、あまりの酷さに、少し映画の世界から素に戻るくらいの怒りを感じていました。

 

そういう意味では、映画キャラクターとして成功している訳なので、まんまとマーベルの手のひらに、回された格好になってしまいました。

 

ブラック・ウィドウがレッドルームに乗り込んでドレイコフと対峙したシーンも最悪でしたが、良かったです。

 

ドレイコフの匂いを嗅ぐと攻撃することが出来なくなる、フェロモンバリアなる物で、自分を守る所とか最低でしたな。

 

自分に危害を与えられない状態を作っておいて、相手にビンタをするフリをして威嚇する所なんて本当に見ていて不快でしたよ。

 

そこには、男社会が、女性を搾取する問題もあると感じました。

 

フェロモンバリアって、社会における権力や、肩書をイメージした演出だと思う訳です。

 

決して強くもない敵が、自信満々なのはそれらに守られているからという、格好悪さを表現していたので、見ていて演出が上手いなぁと感心していました。

 

 そのあと、フェロモンバリアを断ち切る方法として、机に頭を打ち付けて額から血をだしながら神経を切ることで、フェロモンバリアを打ち破ってぶん殴るブラックウィドウが凄い恰好良かったです。

 

シリアスなシーンが続くと、ギャクシーンを入れて来るバランスもあって、映画自体は重苦しく無く、テンポよく進んでいきます。

 

映画の中で、ブラック・ウィドウの着地シーンをいじったりと、アベンジャーズを見ているとニヤリど出来るシーンもあるので、見ていてコロナが無ければと思いましたよ。

 

しかし、全て最高ではなくて気になる所もありました。

 

●ストーリーが明らかに詰め込み過ぎていて、134分あるのにそれでも駆け足な感じは否めなかった。

 

●ドレイコフが最低なので、もっと苦しみを味わいながら最期を迎えてほしかった。

 

とかあるのですが、総じて凄く楽しめた映画だったので、ブラック・ウィドウが活躍するればするほど、エンドゲームのシーンを知っているばかりに切ない気持ちになってしまいました。

 

しかし、ブラック・ウィドウの家族が全員スパイで偽物だったショックを受け止めて、最後には、「私にはふたつの家族がいる。」と言うまでになったシーンを見ると、血じゃない家族の形を見つけることが出来て良かったなぁと思いました。

 

箸休めの映画なんて思っていたのはとんだ誤りでした。

 

是非、映画館でご覧ください。

 

 

 

 

 

アメリカン・ユートピア

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おススメ度 94

 

※映画のネタバレあります。

 

www.youtube.com

 

あらすじはこんな感じ。

 

 

元「トーキング・ヘッズ」のフロントマンでグラミー賞受賞アーティストのデビッド・バーンが2018年に発表したアルバム「アメリカン・ユートピア」を原案に作られたブロードウェイのショーを、「ブラック・クランズマン」のスパイク・リー監督が映画として再構築。同アルバムから5曲、トーキング・ヘッズ時代の9曲など、全21曲を披露。バーンは様々な国籍を持つ11人のミュージシャンやダンサーとともに舞台の上を縦横無尽に動き回り、ショーを通じて現代の様々な問題について問いかける。クライマックスでは、ブラック・ライブズ・マターを訴えるジャネール・モネイのプロテストソング「Hell You Talmbout」を熱唱する。パントマイムや前衛パフォーマンスの要素も取り入れた斬新な振り付けを手がけたのは、過去にもバーンの舞台を手がけたアニー・B・パーソン。ブロードキャスターピーター・バラカンが日本語字幕監修を担当。

2020年製作/107分/G/アメリ
原題:David Byrne's American Utopia
配給:パルコ

映画.comより。

 

劇場の感想の前に・・・

 

 

早めに映画館に到着して、席を予約したのですが、いざ、席に座ろうとしたら、隣の席に人が座ってたんですよね。

 

しかも、目を瞑って、頭を立てノリしている人がいたんですよ。

 

声を掛けようと思ったのですが、何か言われて興を削がれるのも嫌なので、受付に行って、席順を確認してもらったら、頭を立てノリしている人が、席順を間違って座っていることが発覚。

 

従業員さんから、お客様に声をかけますか?と言われたのですが、他の席も開いていたので席を替えてもらいました。

 

この件で学んだことは、座る前に席順は確認しよう!!でした。

そういえば、スターウオーズ9でも、後から入場した人が隣に座ってきて、席をひとつずらした記憶が思い出しました。

 

日常から離れて映画の没頭したいのに、モヤモヤした中映画を鑑賞していました。

書いていて器が小さいなぁと、もっとどっしりと構えていたいものです。

 

ここからが、『アメリカン・ユートピア』感想です。

 

劇場版の予告編で知り、デイヴィッド・バーンよりも、『監督スパイクリー』に興味を持ちました。

 

鑑賞前は、スパイクリーがライブ映像の監督出来るの?どうなの?とか、かなり大上段から思っていたのですが、映画を鑑賞後は、スパイクリーでしか成立しない映像になっていました。

 

映画と舞台の良い部分が、相乗効果で稀有な映画体験をすることができましたよ。

 

この舞台をおおまかに説明すると。

 

『裸足でグレーのスーツを着た、男女がワイヤーレスの楽器を装着して歌ったり、踊ったりするライブ映像。』なのですが、この映画でデイヴィット・バーンという存在を知れたことが、最大の収穫でした。

 

白髪の初老の男性が舞台中央に立っているだけなのに、何か惹きつけられて、そこに楽器隊が合流して、一つのアンサンブルが出来上がる瞬間の高揚感は沢山の人に体験して欲しいと思いましたね。

 

個人的には、『Burning Down the House』や『I Should Watch TV』が印象的でした。

 

鑑賞していて何度も感情が揺さぶられるのが不思議だったのですが、ダンサーや、キーボードやパーカッションを担当している人達の技術と、音楽を楽しんでいる姿勢に心を打たれたのだと思います。

 

この舞台は、アメリカ大統領選の時期でもあり、曲の合間に、デイヴィット・バーンが、様々な国の出身者がいるバンドのメンバーを紹介しながら、幼いころスコットランドからアメリカに来て、多くの移民がアメリカにいる、移民がいなければ成り立たない。というコメントが印象に残りました。

 

この舞台の映画的な手法として、カメラ―ワークが挙げられます。

普段なら正面からしか見れない構図を、上から見ることが出来るのは映画ならではだと感じました。

 

マーチングバンドのようなフォーメンションも、横からではなく真上から撮影することで映画の盛り上がりに一役買っている効果もあるなと思いますし、シャネール・モネイのカバー曲『Hell you Talmbout』の時に、スパイクリーが監督をする理由が理解できました。

 

この『Hell you Talmbout』という曲の説明ですが、白人の暴力で命を落とした黒人たちの名前を連呼する構成の曲で、デイヴィット・バーンがこの曲の対極にあるのは鎮魂歌だと思う。という言葉が印象に残りました。

 

ただ名前をパーカッションや打楽器の音と共に叫び続ける曲。

名前と同時に当事者の巨大なパネルが映し出される。

巨大なパネルを持って、怒りと、悲しみが混ざったような表情をして我が子のパネルを持つ母親。

 

スパイクリー監督の映画は、基本的に人種差別されている黒人がテーマにあるのが多く、自分のメッセージを伝えるためには、映画の世界観が揺らいでも構わないと思っている部分もあるので、最終的には、映画から現実へと急にシフトすることが多い印象があります。

最後まで鑑賞すると、「この問題は、映画が終わった後も続いてるからな!!終わりじゃなくて、今も続いてるからな!!」と、スクリーンから立体的に飛び出したスパイクリー監督本人から胸倉掴まれるような気持ちになります。

 

その状態を、私は勝手に『映画からはみ出て居る』って表現しています。

 

そういう意味では、この舞台は『はみ出て居る』映画なのです。

 

この映画体験は、映画館でみないことには始まりません。

 

なので、興味ありましたら是非映画館で鑑賞してみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Mr.ノーバディ

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おススメ度 97

 

個人的には、暫定的に今年1番の映画でしたよ。

 

あらすじはこんな感じ。

一見してごく普通の中年男が、世の中の理不尽に怒りを爆発させて大暴れし、やがて武装集団やマフィアを相手に激しい戦いを繰り広げる姿を描いた痛快ハードボイルドアクション。「ジョン・ウィック」の脚本家デレク・コルスタッドと製作デビッド・リーチが再タッグを組み、人気テレビシリーズ「ベター・コール・ソウル」の主人公ソウル・グッドマン役で知られるボブ・オデンカークが主演を務めた。郊外にある自宅と職場の金型工場を路線バスで往復するだけの単調な毎日を送っているハッチは、地味な見た目で目立った特徴もなく、仕事は過小評価され、家庭では妻に距離を置かれて息子から尊敬されることもない。世間から見ればどこにでもいる、ごく普通の男だった。そんなハッチの家にある日、強盗が押し入る。暴力を恐れたハッチは反撃することもできず、そのことで家族からさらに失望されてしまう。あまりの理不尽さに怒りが沸々とわいていくハッチは、路線バスで出会ったチンピラたちの挑発が引き金となり、ついに堪忍袋の緒が切れる。監督は「ハードコア」のイリヤ・ナイシュラー。共演に「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のクリストファー・ロイド、「ワンダーウーマン」のコニー・ニールセンほか。

2020年製作/92分/PG12/アメリ
原題:Nobody
配給:東宝東和

スタッフ・キャスト
監督製作ケリー・マコーミック デビッド・リーチ ブレイデン・アフターグッド ボブ・オデンカーク マーク・プロビッシエロ製作総指揮デレク・コルスタッド マーク・S・フィッシャー トビー・マグワイア脚本デレク・コルスタ

 

Mr.ノーバディ : 作品情報 - 映画.com

 

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映画館の予告編で知ったのですが、最初は「あれでしょ、舐めてた奴が滅茶苦強かった。」的なのでしょ?と斜に構えていたのですが、ジョンウイックのスタッフが集結して作成された映画と知り、姿勢を斜から正対に直した次第。

 

※映画の内容に触れていきます。

 

映画冒頭で、ボロボロになった主人公のハッチが名前を聞かれたことに対して、「ノーバディだ」と答えるシーンから心を掴まれました。

その後、主人公のハッチの日常が、曜日のテロップが画面一杯に表示されながら説明していく構成が見ていてワクワクしましたよ。

 

金型工場の経理として勤めているので、鉄をプレスするような音と共に曜日のテロップが変わって、主人公の日常が分かるのですが、大体早朝のランニングと懸垂、そして仕事の毎日と、ゴミ収集車の時間に間に合わずに、いつも走り去るゴミ収集車の後ろ姿を見る日々。奥さんとは同じベットで寝ているものの、真ん中にはクッションが置かれていて営みも無い模様。

子どもいるが、ハッチ自身が日常を退屈だと思っているのが分かる仕組み。

 

金型工場でも、経理の仕事をこなしつつも、社長の息子からのイキッた絡まれ方をしていて適当に流す日々。

 

ちなみにこの社長の息子、ハッチに銃を突き付けてきて、「安全装置がかかっているから大丈夫だ。」と言った矢先に、「あ、安全装置外れていたっけ。」とか言っているポンコツ野郎なのですが、ハッチは無理矢理渡された銃を冷凍庫にあるアイスが入っている箱に押し込んで無視していました。

 

そんな日常を過ごしていたら、夜中家に2人組の強盗が侵入。

強盗がハッチに銃を突きつけるも、台所の皿にある数ドルと自分の持っている腕時計を渡して、何事も無く終わそうとした瞬間、息子が一人にナイスタックルするも、ハッチは息子に、離すように言って強盗を逃がすことに。

息子からは情けないと言われて、若干しょんぼり気味のハッチ。

しかし、ハッチは瞬時に銃の形式と弾が入っていないこと、そして女性であることを見抜いていたから手を出さなかった訳ですよ。

 

しかし、そのことを言わないので、顔に青あざ作った息子の誤解は解けないまま。

警察の現場検証も終わり、台所に足を運ぶと、最愛の娘から「猫のストラップ無いよ。」との発言が、多分先程の強盗が持って行ったと知ると、ハッチ覚醒。

 

夜の街に飛び出して、ストラップ奪還作戦の開始。

 

そして、強盗をした二人組の家へと入り込むも、あるのは腕時計のみ。

ここで、やり切れないのは、ハッチが赤ちゃんの泣き声を聞いて見に行くと、そこには酸素ボンベと酸素吸入機をしている赤ちゃんの姿で、『悪い奴を成敗してハッピーエンド』では無い現代のやり切れなさを描いているのが印象的でした。

 

ハッチは、そのやり切れない思いをコンクリの壁を殴って解消していました。

 

ここ10年でのアクション映画の潮流として、俺強い系から、現実路線へと変更しているように思っています。

一発殴られるけど、相手の片腕は折る。『骨を切らして肉を断つ』的なアクションが主流になっていて、この映画もその流れを汲んでいると感じました。

 

バスの中でのアクションシーンも、普通に考えれば1対6になると一人を殴ると他の人間から殴られる訳で、この方が現実的だし、一人が勝つには相手のナイフや武器も奪って使用するのも常套手段ですし、暴力なんて痛くて恰好悪いものとして表現していると私は思いました。

 

この映画のボス役のロシアンマフィアが良い味出してましたし。

脇役も魅力だったりするのですが、この映画の良いところとして細かい配慮があるところが挙げられます。

 

例えば、家族を地下室に避難させて、自宅に襲撃したマフィアの部下を返り討ちにした後で、家族が自宅から避難するシーンで、高校生らしき兄は目を開けていて、小学生の妹は、目を手で隠しながら手を繋いで歩くのがあったのですが、こういう配慮って無い映画には本当に無いので、個人的には好感を持ちました。

 

他にも、クリストファーロイドの存在感であったりとか、金型工場での最終決戦であるとか、褒めるところが多く、しかも90分なのに満足できるボリュームでした。

 

暴力の連鎖と報復も描いていたので、そこも良くて、おススメ度は97です。

残りの三点はその日の体調や気温で変動する感じです。

 

この映画を気に入るのなら、この映画も好きになるはず。

 

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ミッドサマー

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おススメ度 90(その人の体験、環境によって1~10000まで変動。)

 

スタッフ・キャスト

監督
アリ・アスター
脚本
アリ・アスター
製作
パトリック・アンデション ラース・クヌードセン
撮影
パベウ・ポゴジェルスキ
美術
ヘンリック・スベンソン
衣装
アンドレア・フレッシュ
編集
ルシアン・ジョンストン
音楽
ボビー・クルリック
フローレンス・ピューダニーフローレンス・ピュー
ジャック・レイナークリスチャンジャック・レイナー
ウィリアム・ジャクソン・ハーパージョシュウィリアム・ジャクソン・ハーパー
ウィル・ポールターマークウィル・ポールター
ウィルヘルム・ブロングレンペレウィルヘルム・ブロングレン
アーチー・マデクウィサイモンアーチー・マデクウィ
エローラ・トルキアコニーエローラ・トルキア
ビョルン・アンドレセンダンビョルン・アンドレセン

 

あらすじ

長編デビュー作「ヘレディタリー 継承」が高い評価を集めたアリ・アスター監督の第2作。不慮の事故により家族を失ったダニーは、大学で民俗学を研究する恋人や友人たち5人でスウェーデンを訪れた。彼らの目的は奥地の村で開催される「90年に一度の祝祭」への参加だった。太陽が沈むことがないその村は、美しい花々が咲き誇り、やさしい住人たちが陽気に歌い踊る、楽園としか形容できない幸福な場のように思えた。しかし、そんな幸せな雰囲気に満ちた村に不穏な空気が漂い始め、妄想やトラウマ、不安、そして恐怖により、ダニーの心は次第にかき乱されていく。ダニー役を「ファイティング・ファミリー」のフローレンス・ピューが演じるほか、「トランスフォーマー ロストエイジ」のジャック・レイナー、「パターソン」のウィリアム・ジャクソン・ハーパー、「レヴェナント 蘇えりし者」のウィル・ポールターらが顔をそろえる。

映画ドットコムより

 

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前作の『へレディタリー』では、映画終盤以降、恐怖のあまり「早くこの映画終われ、早く終われ」と心の底から思いながら映画館で鑑賞した私にとって、映画館の予告でこの映画を見た時に「これは、精神的にダメージを受ける奴だ。」と思いスルーしました。

 

その後、レンタルで旧作になっているのを知って、視聴した次第。

 

見た感想は「監督のアリ・アスター、マジで何見せてくれてんだよ!!(泣き&怒り)」

でした。

 

前作の『ヘレディタリー/継承』が、家族関係の地獄を描いてるのに対して

hereditary-movie.jp

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今回の「ミッドサマー」は、閉鎖的なコミュニティに参加した際における地獄を描いていて本当に辛い。

 

大雑把な映画の内容は、主人公のダニーの妹が家のガス栓を開けっぱなしにして、家族を失う展開に。

 

その後、彼氏と民俗学を専攻している友人たちで、90年に一度開催される祭りを見にスウェーデンに。

 

そこで色々あって、ダニーが、ダンシングクイーンになったり、彼氏がクマの着ぐるみを着たり。友達がピエロの恰好したり、他の友達も目に花をつけたりして仮装しているなか、キャンプファイヤーおこなわれて、それを見届けたダニ―が笑顔になって終わっていた気がします。

 

見ていてやっぱりこの監督、性格が悪いというより、意地が悪い。

 

例えば、カルト宗教の儀式で老人の男女が崖から飛び降りるシーンで、死にきれない男性をハンマーで顔を打ち付けるシーンもちゃんと潰れた顔面を見せてくるし、タルトケーキの件や、ダニーの彼氏のクリスチャンだけ違う、オレンジジュースの色だったりと、不快さをよくこれだけ映像に出来るなと感心してしまいましたよ。

 

それでいて、映画自体は大雑把どころか、凄く細部まで丁寧に作成している所がまた恐ろしくてね。

 

凄く気色の悪いぬいぐるみなのに、近づいて見ると手作業が行き届いているのを知った時の不気味さに近いのかも知れない。

 

この映画を見て一番印象的だったのは、性交の儀式の異常さで、そこに、男性側の性的快楽は存在しなくて、女性が子供を授かるためだけの儀式であり、男性は物として扱われる訳です。

 

男性側からはこう見えたのですが、女性側からすれば、また違う見え方があると思います。

 

映画で起きる出来事は不快で、癪に障るのに、映像は美しくて、何処か垢ぬけているのがただ怖い。

 

この映画は、家族を失ったダニーが、新しい家族を手に入れる話。

だと思うのですが、その、新しい家族がカルト宗教だとしても、最後の主人公のダニーの笑顔にカタルシスを感じる瞬間はありました。

 

実質のバッドエンドだと思いますが、しんどくても、辛くても、居場所が無ければ自分が作っていくのが、一番現実的な方法なんだとこの映画を見て嫌でも思わされましたよ。

 

DVDで鑑賞しましたが、何度も停止しながらの鑑賞でした。

映画館で鑑賞していたら、多分、このブログに書かないくらいにダメージを受けたと思います。

 

そんな訳で、ミッドサマーおススメですよ。