2021年10月以降の上映で、映画館の予告で鑑賞しようと思った映画。

ここでは、映画館の予告を見て鑑賞しようと思った映画について書いていきます。

まずはこの予告編

エスト・サイド・ストーリーで知っているのは、ミュージカルというのと、リーダー同士がお互いの片方の腕を布で巻き付けた状態でナイフで決闘するシーンがあるなぁ、ぐらいの認識です。

 

あと男性三人が、Ý字バランスみたいなポーズをしているポスターが有名だったらしいくらいなのですが、監督がスティーブン・スピルバーグと知り興味が湧いてきました。

 

予告編を見ていて「あれ?監督ってミュージカル映画って撮影した事あったけ?」と思って後で調べてみると、この映画がミュージカル映画初挑戦と知り驚きました。

 

今までのキャリアで満足せずに、新しい事に挑戦するチャレンジ精神自体凄いことだと思った訳です。

 

『レディ・プレイヤー1』や『E・T』を鑑賞して思ったことは「何でこの監督は、映画の文法でしか成立しない、映画特有のエモーションのみを撮影し続けることが出来るのだろう。」という事でした。

 

両作品共に、感動したシーンを言葉で説明しようとすると、途端に陳腐な表現になってしまって、全然伝えることができないのです。

 

本来の映画なら、そのエモーションに向けて物語を進めて行くのに対して、この監督の映画はエモーションしか無いことが他の映画と比べて稀有なところであり、多分それは、映画の演出におけるルールを知り尽くしているスピルバーグ監督だからこそ為せる技術ともいえます。

 

日本の監督でいうと、毛色が違うように見えますが、一番近いのは『大林宜彦監督』ではないでしょうか、両監督の作品に共通することは、自分自身の存在を映画と同化させていくかのような、映画に対する尊敬と深い愛情だと私は思っています。

 

映画に対する尊敬と深い愛情を持って撮影している点でいえば、『クエンティン・タランティーノ監督』の源流を辿るとティーブンスピルバーグ監督に行きつくのではないでしょうか。

 

有り体に言ってしまうと、超・映画オタクがだった少年が映画監督になった源流がスピルバーグ監督とも言えると思っています。

 

次はこの予告編

 

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予告編を見た感想は「これって実写版『白鯨』じゃないだろうか。」でした。

 

鯨と共に生きる人々のドキュメンタリーなのですが、鯨に銛を突き刺す人たちの身体性の高さを感じた。

ここに住む子ども達は、小さい時から服を着たままで海で泳いだり、大人たちと船に乗っていたりする、将来ここから、スポーツ選手やオリンピック選手が誕生するのではないか?と思うくらいだ。

 

話は少し変わるが、100メートル走を8秒で走れる人間が存在していると思っている。

 

本当に純粋な人間は、より早くとか誰かに勝ちたいとか思わないのではないだろうか、いるとしたら多分、こういう環境から誕生するのかも知れない。

 

話は戻って、鯨のスケール感が想像を軽く超えてくる、これが生物としては人間と同じ哺乳類として分類されているのだから生命は不思議だ。

 

捕鯨に対して、暴力的な行動をしてまでも反対する団体もある、私は何で捕鯨を反対しているのかを良く知らない、何か言い分があるのだろう。

 

だからこそ、捕鯨反対を掲げている人達に見てもらいたい。

 

何故、捕鯨するのかその背景には何があるのか?

 

相手を知ることで出来る議論の方が、感情論よりよっぽど未来があるのだが、これが綺麗事なのも理解はしている。心底面倒臭いと思っているが、この面倒臭さを放棄したら、後悔するような気がする。

 

それを含めて、自分自身のことを心底面倒臭いと感じている。

この面倒臭さと共に、このドキュメンタリーを見てみようと思った次第。

 

こんな感じで、予告編を見て思ったことを書いていく予定です。

 

 

 

 

シャン・チー/テン・リングスの伝説

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おススメ度 93

 

 

 

※映画の内容に触れますので、未見の方はご注意ください。

 

あらすじは、こんな感じ

アベンジャーズ」シリーズを中心にマーベル・シネマティック・ユニバースMCU)を展開するマーベル・スタジオが、最強の力を持ちながらもそれを封印してきた心優しきヒーロー、シャン・チーを主人公に描くアクション大作。犯罪組織を率いる父に幼いころから厳しく鍛えられ、最強の存在に仕立て上げられたシャン・チー。しかし心根の優しい彼は自ら戦うことを禁じ、父の後継者となる運命から逃げ出した。過去と決別し、サンフランシスコで平凡なホテルマンのショーンとして暮らしていたシャン・チーだったが、伝説の腕輪を操って世界を脅かそうとする父の陰謀に巻き込まれたことから、封印していた力を解き放ち、戦いに身を投じる。「アイアンマン」シリーズなど、これまでのMCU作品で名前が登場していた犯罪組織「テン・リングス」の謎が明らかにされる。主人公のシャン・チー役には中国系カナダ俳優のシム・リウが抜てきされ、トニー・レオン、オークワフィナ、ミシェル・ヨーら実力派俳優が共演。「黒い司法 0%からの奇跡」のデスティン・ダニエル・クレットン監督がメガホンをとった。

2021年製作/132分/G/アメリ
原題:Shang-Chi and the Legend of the Ten Rings
配給:ディズニー

 

監督
デスティン・ダニエル・クレットン
製作
ケビン・ファイギ ジョナサン・シュワルツ
製作総指揮
ルイス・デスポジート ビクトリア・アロンソ チャールズ・ニューワース
共同製作
デビッド・J・グラント
原案
デイブ・キャラハム デスティン・ダニエル・クレットン
脚本
デイブ・キャラハム デスティン・ダニエル・クレットン アンドリュー・ランハム
撮影
ウィリアム・ポープ
美術
スー・チャン
衣装
キム・バレット
編集
ナット・サンダース エリザベット・ロナルズドッティル ハリー・ユーン
音楽
ジョエル・P・ウェスト
音楽監修
デイブ・ジョーダン
視覚効果監修
クリストファー・タウンゼント
ビジュアル開発監修
アンディ・パーク


シム・リウ
オークワフィナ
メンガー・チャン
ファラ・チャン
ロリアンムンテアヌ
ベネディクト・ウォン
ミシェル・ヨー
トニー・レオン
ユン・ワー
アンディ・リー
ロニー・チェン

以上、映画.COMより

 

 

感想の前に、関係あるような、ないような雑談を少し。

 

正直、映画の予告を見た時は内心「これ、面白くなるの?」とか思っていました。ついでに言うと「成程ね、カンフーアクションね、はいはい。」とか分かった気になっていましたが、過去に『マイティー・ソー』の予告を見た時も同様の考えをもっていたので、考えを改めました。

 

『マイティー・ソー』の時も「ハンマーで戦う、鎧を着たヒーローで面白く出来るの?」何て思っていましたが、今では『マイティ―・ソー』はマーベルシリーズでも上から数えた方が早いくらい好きな作品になっています。

ここから感想となります

超絶にザックリ映画のあらすじを伝えると、シャンチーが幼少の時、母親からもらったペンダントを、暴漢から奪われてしまう。

それを取り戻すために行動すると、そこには、幼少の時に生き別れた妹と再開したのだった。

そのあとも、幻の都で父親と戦ったり、父親が呼び覚ましたモンスターを、中国版ファルコンで向かい打って、最後シャン・チーの内なる力が解放されて、モンスターを撃破。

その後、妹の父の残した秘密組織を引き継ぎ、シャン・チーとケイティは、ウォンから呼び出されて、キャプテン・マーベルや、ハルクと顔を合わせて、新たな物語を感じさせつつ、最後ウォンと3人でカラオケで『ホテルカルフォニア』を絶唱して終わってましたよ。

ハルクが人間の恰好で腕を吊っていたので、時間軸がエンド・ゲーム後だというのが分かる演出も良かったです。

新・アベンジャーズの口火を切る作品として注目していたのですが、マーベルのストーリーテーリングの上手さを感じたエンターテイメント映画を楽しめましたよ。

まず、主人公と行動を共にするケイティは、シャン・チーと共に、ホテルの運転係をしていて、宿泊客の高級車を停車する前に乗り回したりするはっちゃっけぷり。

 

刹那的な行動や、名門の大学を卒業しているが、その学んだ事とは無縁の職業に就いている理由として、サノスによる人口半減指パッチンから、人口が戻った世界のため、長期的な目的に向けて努力することに対して、『ある日突然、消えてしまう。』といった無力感が根底にあったりするのが、日常のリアリティを感じましたな。

 

何より、冒頭のバスの中でのアクションシーンは坂道の多いサンフランシスコの地の利を生かしたスピード感溢れるシーンとなっていて、見ているだけでワクワクさせてくれる名シーンでした。

 

って身体が反転して落下する描写を良く見かけるが、この描写って私の記憶だと、『タイタニック』あたりが最初だったような気がします。

 

そうすると、CGにおけるパロディというか、リスペクト的表現なのだろうかと勝手に思っていたのですが、どうなのでしょうかね。

 

父と子の対決シーンも、冒頭の母親が駆使した拳法でシャン・チーが立ち向かうシーンも演出的な上手さを感じましたし、何よりも父親のシュー・ウェンウの佇まいが格好良い、2021年現在、世界で一番手抜きグローブが似合う俳優として語り継がれると思いました。

世界中で、手抜きグローブの売り上げが上昇するのではないでしょうか。

 

他にも、幻の都に住む動物達の可愛らしさや、トレヴァー・スラッタリーの存在感も良かったです。

 

ハリウッド映画の歴史において、現場では、白人の役者が大部分を占めていた歴史があるなか、この作品は、大半の演者がアジア系で占められていて、白人の役者が少数派となる現場になる訳で、そのアウェー感はかなりの物と想像していました。

 

鑑賞中、映画『ブラックパンサー』のエヴェレット・K・ロスを重ねていましたが、そんな重圧をまったく感じさせない演技で凄く良かったなと思いました。

 

でも、ひとつだけ気になった所があって、最後の物語展開として、ケイティが放つ弓がモンスターの喉笛を貫通⇒その隙にシャン・チーの内なる力が解放しての決着は、凄く違和感があったというか、ここまで物語を紡いできたのに、急におざなりになったというか、偶然が重なって行く展開になってしまったのは残念だったなと。

 

例えば弓矢の師匠が腕を負傷して弓が弾けなくなって、目測が師匠、ケイティが代わりに弓を打つ展開なら、自分を超える力が発揮出来た理由付けは何とでもできるはずなのになぁ~と感じました。

 

それと、弓矢を放った後「ウソ?」と言わせてしまうのを見て、そこは「やった!!」とかで良かったのではないか?と思いましたな。

気になった所はこれぐらいで、映画としてはとても面白かったし、新・アベンジャーズシリーズの口火を切る作品としても期待を持てる映画でしたよ。

何度も書きますが、このご時世もあって、最後のカラオケシーンの開放感が際立って、少し感極まりました。

あと、シャン・チーとケイティ―が恋愛関係にならないのも、現代的なアプローチだなと思った次第です。

 

映画としては及第点を越えている作品なので、興味ありましたらぜひご覧くださいませ。

 

 

 

 

ドント・ブリーズ

相手を舐めてかかると、痛い目見るぞ。

 

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あらすじはこちら

 

サム・ライミ製作、リメイク版「死霊のはらわた」のフェデ・アルバレス監督による、全米でスマッシュヒットを記録したショッキングスリラー。強盗を企てた若者3人が、裕福な盲目の老人の家に押し入ったことから、思いがけない恐怖に陥る様を描く。親元を離れ、街から逃げ出すための資金が必要なロッキーは、恋人のマニーと友人のアレックスとともに、地下に大金を隠し持っていると噂される盲目の老人の家に強盗に入る。しかし、その老人は目が見えないかわりに、どんな音も聴き逃さない超人的な聴覚をもち、さらには想像を絶する異常な本性を隠し持つ人物だった。暗闇に包まれた家の中で追い詰められたロッキーたちは、地下室にたどり着くが、そこで恐るべき光景を目の当たりにする。

2016年製作/88分/PG12/アメリ
原題:Don't Breathe
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

以上、映画.comより

 

スタッフ・キャスト
監督
フェデ・アルバレス
製作
サム・ライミ ロブ・タパート フェデ・アルバレス
製作総指揮
ネイサン・カヘイン ジョー・ドレイク エリン・ウェスターマン J・R・ヤング マシュー・ハート
脚本
フェデ・アルバレス ロド・サヤゲス
撮影
ペドロ・ルケ
美術
ナーマン・マーシャル
衣装
カルロス・ロサリオ
編集
エリック・L・ビーソン ルイーズ・フォード
音楽
ロケ・バニョス
ジェーン・レビロッキージェーン

 

    • ロッキー

    • ジェーン・レビ

    • アレックス

    • ディラン・ミネット

    • マニー

    • ダニエル・ゾバット

    • 盲目の老人

    • ティーブン・ラング

     

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おススメ度 79

 

オープニングの道路を空撮している映像から、段々道路にズームしていくと、人間が歩いていて、何がを引きずっている。

そのままカメラが引きずっている対象にズームする一連の流れに掴まれました。

ジェイソンなどの『いつの間にか、その場にいる怖さ。』というよりも、盲目の老人なのに、滅茶苦茶強くて、無慈悲という設定は新しいなと思いました。

 

なので、盲目の老人が積極的に主人公たちに急接近したり、横を通り過ぎるていくため、そのたびに張り詰めた空気になるので、見ている観客も同じ緊迫感を共有できる工夫は見ていて感心しました。

 

映画の内容についてですが、それぞれ家庭の事情を抱えた主人公の面々が、盲目の老人宅にある大金を盗もうとして、家に侵入して金を奪おうとする時点で感情移入出来なくて、盲目の老人から酷い目にあったとしても、「そりゃ、そうだろう。」と思ってしまう訳です。

逆に、侵入しなければこんな事になっていないし、主人公に盲導犬が襲い掛かろうとする理由も、飼い主を思ってのことだろうし、理解ができる。

その盲目の老人も、富豪が運転している車に、自分の娘を轢き殺されて、しかも無罪判決で釈放されたという過去があるのですが、その後、富豪の娘を誘拐して、自分の精子をスポイトで注入して妊娠させていたという、老人の過去の悲劇が霞むくらいのクソ野郎で、まったく感情移入出来ないという地獄。

これが、どの登場人物にも感情移入をさせないようにして、映画を見ている人達に不安感を持たせる演出なら、とても上手く機能していると思います。

最後、生き残ったヒロインが老人の家から持ち出した金を使用して、飛行機に乗るところで終わっていたような気がしますが、ヒロインの過酷な家庭事情も知ったうえで、内心「とはいえ、不法侵入で盗んだ金なんだよな。」と思うと、複雑な気持ちになりました。

 

ここまで見ると、監督はカタルシスを徹底的に排除してるようにも見えましたな。

 

この後、老人が開眼して、次々と入ってくる荒くれ者を斧で頭をかち割る描写も迫力がありました・・・すいません、これはスティーヴン・ラング主演の別作品『ヴェテラン』の話でした。

 

話を戻して、最初の、底知れない存在感と恐怖を出していたの比べて、終盤になると、普通に攻撃を受けるとそれなりに、ダメージを受ける人間感が前面に出てしまったのが残念でしたね。

どうせなら最後まで、理由の分からない強さを持ったままでも良かったのではと思いました。

冒頭の盛り上がりに比べると、最後落ち着いてしまった印象を受けたので、おススメ度は79となりました。

とはいえ、90分を切っている上映時間なのに、異常な緊迫感を味わえる映画なので、現在『ドントフリーズ2』の公開されている中、興味ありましたら是非ご覧になってはいかがでしょうか。

 

 

海辺の映画館ーキネマの玉手箱

 

※映画体験として、アベンジャーズ・エンドゲームと肩を並べる作品でした。

(これは冗談では無くて、本気です。)

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昨年に鑑賞した映画の感想をあれこれと。

昨年、『海辺の映画館ーキネマの玉手箱』を鑑賞して、Facebookに投稿していたのですが、一部書き直して、こちらのブログにも投稿いたします。
 
※映画の内容に触れていきます。
 
あらすじはこんな感じ。

尾道の海辺にある唯一の映画館「瀬戸内キネマ」が、閉館を迎えた。
嵐の夜となった最終日のプログラムは、「日本の戦争映画大特集」のオールナイト上映。
上映がはじまると、映画を観ていた青年の毬男(厚木)、鳳介(細山田)、茂(細田)は、突然劇場を襲った稲妻の閃光に包まれ、スクリーンの世界にタイムリープする。
江戸時代から、乱世の幕末、戊辰戦争日中戦争、太平洋戦争の沖縄……3人は、次第に自分たちが上映中の「戦争映画」の世界を旅していることに気づく。そして戦争の歴史の変遷に伴って、映画の技術もまた白黒サイレント、トーキーから総天然色へと進化し移り変わる。
3人は、映画の中で出会った、希子(吉田)、一美(成海)、和子(山崎)ら無垢なヒロインたちが、戦争の犠牲となっていく姿を目の当たりにしていく。
3人にとって映画は「虚構(嘘)の世界」だが、彼女たちにとっては「現実(真)の世界」。
彼らにも「戦争」が、リアルなものとして迫ってくる。
そして、舞台は原爆投下前夜の広島へ――。
そこで出会ったのは看板女優の園井惠子(常盤)が率いる移動劇団「桜隊」だった。
3人の青年は、「桜隊」を救うため運命を変えようと奔走するのだが……!?

 

 

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おススメ度 97

 

※2020年10月にこの感想を書いています。

 

 コロナが無ければ、上映日が大林監督の命日と重なるという、大林宜彦監督の最後のサプライズともいえる奇跡が起きたこの映画。

残念ながら映画が延期となり、映画の存在も忘れかけたころに、映画館で上映されることを知り、足を運んだ次第です。
 上映時間は約3時間ですが、アベンジャーズシリーズを鑑賞した者としては、そんなのは体感時間として2時間みたいなもの。
 開始時間5分前に到着、トイレ、ドリンク購入、そしてシアターへと流れるように入場。
 
映画開始1分で、もう大林宜彦節ともいえる、奇怪で(褒めています)ぶっ壊れている(激賞)映像が流れてきて安心しましたよ。
 閉館する映画館で上映された映画の世界に入っていく主人公たち。
 そこで様々な時代の戦争を追体験していくのですが、最初はコミカルな描写からスタートして、少しずつ、戦争の悲惨さや暴力性が侵食していきます。
 
大林宜彦監督は、『長岡花火物語』、『花筐』のなかでも戦争に対して、どちらかといえばマイルドで、抽象的に戦争の悲惨さを伝えていると感じていたのですが、この作品では、具体的に戦争の悲惨さを描きだしていて、沖縄戦のパートは、見るのが苦痛になるぐらいの状態でしたよ。
 
沖縄の市民を日本兵が虐殺、暴行をしたという事実については、自分は知らないことが多く、明言を避けます。
 ただ、このような事が起きても何ら不思議ではない異常な状態が戦争であって、本当に碌なもんじゃないなと思う訳で。
 他にも若い兵隊に対して、上官が気に入らないという理由で殺害するシーンは本当に腹が立ったし、実際にこんなことはあったんだろうなと想像ができるのでゲンナリしましたよ。
 
何よりも、沖縄戦であれだけのことをした人間が、しれっと社会に溶け込んでいる描写があってぞっとしました。
 
もちろん、戦場という異常な世界に巻き込まれて、心を保つために、あれは自分では無いという暗示をかけていくのも、一つの対処法かも知れません。
 
そうであるならば、戦争は世界一悪趣味なごっこ遊びだと思いましたよ。
 
映画内で、「無法松の一生」のワンシーンが演じられるのですが、正直名前ぐらいしか知らない自分にとってこの映画が、戦時中に軍から、戦後にはGHQから検閲を受けたのにも関わらず、名作として語り継がれていることを知りました。
 
遺作にも関わらず、エネルギッシュで意欲的で尖った映画でしたし、大林映画の集大成ともいえる完成度に圧倒されました。
 
 
 
 
私にとって、『長岡花火』を知るきっかけとなり、大林監督の映画をスクリーンで見ること出来た、思い出深い映画です。
 
終盤の筧利夫氏の演技に、説明が付かない涙が出てきたのを思い出します。
 
こちらもおススメでございます。

 

この空の花 -長岡花火物語 (DVD通常版)

フリー・ガイ

 私的には、大当たりの傑作でした。

 

※映画の内容について触れますのでご注意ください。

 

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あらすじはこちら

ナイト ミュージアム」のショーン・レビ監督が「デッドプール」のライアン・レイノルズとタッグを組み、何でもありのゲームの世界を舞台に、平凡なモブキャラが世界の危機を救うべく戦う姿を描いたアドベンチャーアクション。ルール無用のオンライン参加型アクションゲーム「フリー・シティ」。銀行の窓口係として強盗に襲われる毎日を繰り返していたガイは、謎の女性モロトフ・ガールとの出会いをきっかけに、退屈な日常に疑問を抱きはじめる。ついに強盗に反撃した彼は、この世界はビデオゲームの中で、自分はそのモブキャラだと気づく。新しい自分に生まれ変わることを決意したガイは、ゲーム内のプログラムや設定を無視して勝手に平和を守り始める。共演にテレビドラマ「キリング・イヴ」のジョディ・カマー、「ジョジョ・ラビット」のタイカ・ワイティティ

2021年製作/115分/G/アメリ
原題:Free Guy
配給:ディズニー


監督
ショーン・レビ
製作
ライアン・レイノルズ ショーン・レビ サラ・シェクター グレッグ・バーランティ アダム・コルブレナー
製作総指揮
メアリー・マクラグレン ジョシュ・マクラグレン ジョージ・デューイ ダン・レビン マイケル・ライリー・マクグラス
原案
マット・リーバーマン
脚本
マット・リーバーマン ザック・ペン
撮影
ジョージ・リッチモンド
美術
イーサン・トーマン
衣装
マーリーン・スチュワート
編集
ディーン・ジマーマン
音楽
クリストフ・ベック

 

 

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おススメ度 98

 

予告cmを見て、スルーしようかなと思ったのですが、本当に見て良かったなとしみじみと思いましたね。

 

デットプールしかり、『自分の生活している世界が作り物だと気が付く主人公』として、ライアン・レイノルズという、これ以上ないキャスティングで、ある意味、キャスティングの勝利ともいえる配役だと思います。

 

主役のフリー・ガイが自身のレベルを上げる手段として、人助けや、銃を相手プレーヤーから奪って、ミッションを妨害する行為、つまり、『良いこと』をしてレベルを上げていくというのが、ゲームの暴力性に対する否定でもあり、個人的に良かったです。

 

最初、印象に残らなかった街を歩いているキャラクター達は、映画を見て行く内に、とても魅力的に見えて来るのですが、私的には、常に強盗に合うという理由から、ずっと手を挙げ続けている、おっちゃんが良いキャラクターでしたな。

 

『衝動』何て書くと大袈裟かもしれない、些細でも自分で選択して行動に移すことで、生き生きとしてくる描写が見ていて心地良いものでした。

 

この映画だと、カフェの店員が、フリーガイのカプチーノというキーワードを聞いた時に、カプチーノを作成したくなる。

 

常に手を挙げている、おっちゃんが手を下げようと頑張ってみる。

 

大切なのは「やってみようと」挑戦する気持ちと、行動する勇気、言葉にすれば何てことはないが、監督はそのことを正面切って伝えようとすることが本当に良かった。

 

一旦、再起動されて初期の状態に記憶が戻ったフリーガイにモロトフ・ガールがキスをした瞬間に、記憶を思い出す演出は、映画だからこその表現だったし、記憶が戻る理由として、フリーガイのAI設定に、運命の人を探しているというプログラミングがされているから、という物語の構成も抜群でした。

 

他にもクリス・エヴァンスカメオ出演の面白さ、フリー・ガイの手がロックバスターになった時は、流石に笑みがこぼれてしまいたよ。(アルカイックスマイル)

 

映画が終わって外に出ると、自分がフリー・ガイが存在している世界から、現実へと戻って来たような既視感があり、外を歩いている人達の姿を見て、「自分も含めて、名も無き人何て誰ひとりいない。全ての人が主役なのだ。」そんな事を思いつつ、胸が一杯になりました。

 

 

映画を見た後で、こんな経験をしたのは久しぶりで、映画と現実が地続きで繋がっている演出が好きな私としては、それだけで満足でした。

 

この映画は『コールオブデューティ―』などの、箱庭ゲームを遊んでいた人なら、必ず何かしら突き刺さるはず。

 

必ず、何かしらに、突き、刺さる、はず!!

 

大事な事なので、分割にして書いて見ました。

 

先程も書きましたが、映画を見て胸が一杯になった経験は久しぶりで、私にとってマイ・ベストになる映画になるかも知れません。

 

それぐらい、観て良かった映画でした。

 

これからも、こういう映画体験をするために、映画館に足を運んでいく所存です。

 

そのためには、手洗い、うがいを丁寧におこなって、日々の生活を送って行こうと思いますよ。

 

ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結

※映画の内容について触れますのでご注意ください。

 

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あらすじはこちら

 

バットマン」や「スーパーマン」を生んだDCコミックスに登場する悪役たちがチームを組んで戦う姿を描いたアクションエンタテインメント。デビッド・エアー監督により映画化された「スーサイド・スクワッド」を、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズで大きな成功を収めたジャームズ・ガン監督が新たに描く。ジョーカーと別れて彼氏募集中の身になり、ますますクレイジーになったハーレイ・クインを筆頭に、最強スナイパーのブラッドスポート、敵をチーズに変えてしまう能力を持つポルカドットマン、平和のためには暴力もいとわないという矛盾な生き様のピース・メイカー、ネズミを操って戦うラットキャッチャー2、そして食欲意外に興味のないキング・シャークという、いずれも強烈な個性をもった悪党たちが、減刑と引き換えに、危険な独裁国家から世界を救うという決死のミッションに挑む。出演は、前作に続いてハーレイ・クイン役を演じるマーゴット・ロビーほか、イドリス・エルバジョン・シナジョエル・キナマンら。キング・シャーク役はシルベスター・スタローンが担当した。

2021年製作/132分/R15+/アメリ
原題:The Suicide Squad
配給:ワーナー・ブラザース映画

スタッフ・キャスト
監督
ジェームズ・ガン
製作
チャールズ・ローベン ピーター・サフラン
製作総指揮
ザック・スナイダー デボラ・スナイダー ウォルター・ハマダ シャンタル・ノン・ボ ニコラス・コルダ リチャード・サックル
脚本
ジェームズ・ガン
撮影
ヘンリー・バーマン
美術
ベス・マイクル
衣装
ジュディアナ・マコフスキー
編集
フレッド・ラスキン クリスチャン・ワグナー
音楽
ジョン・マーフィ

スタッフ・キャスト

 

以上、映画.COMより

 

 

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おススメ度  93 

 

ジェームズ・ガンが2018年に、10年前のツイッターによる失言を指摘されて、映画監督を降板する事態があり、この作品が実質の復帰作にあたることもあって、期待していたのですが、お元気そうで何よりでした。

 

ジェームズ・ガン健在を知らしめた映画でしたね。

 

DCコミックを読んでいない私にとって、ピースメーカーの存在って米国の擬人化だと思っていました。

 

自分の持っている正義に対して一点の曇りもない所とか、その純粋さが行き過ぎてしまい、大義のためには、多少の犠牲も厭わない所だったり、そのためには子ども、女性であろうとも、容赦なく手に掛けようとする描写であったりと、アメリカの過去の歴史を鑑みると、上手く表現されているなと勝手に解釈していました。

 

ピースメーカー演じる俳優が、アメリカのマッチョイムズを体現していて、良かったですね。

 

最初に見た時、マッド・デイモンに似た俳優がいるなと思ったのですが、良く見ると、WWEで活躍したプロレスラーのジョン・シナに似ていて、最後テロップでジョン・シナと知った時は、ジョン・シナ本人だったのかい!!と思いました。

 

映画冒頭での、最初に結成されたチームがハーレークイーン以外ほぼ全滅する件で、R15指定とはいえども、かなりのゴア描写の他に、流血、顔面損失、全身火だるまになったりと、際どいなぁ、と思った次第。

 

あと、人間を縦に引き裂く表現が好きなんだなぁと思いましたな。

 

私個人としては、ゴア描写が好きと言う訳でも無く、スプラッター表現が苦手なのですが、ここまで振り切った表現になると、リアリティから離れて行くので、力なく笑うしかないというか、終始、「ひでぇなぁ~。」と思いながら鑑賞していました。

 

とはいえ、ジェームスガンの隙の無い演出は健在でして、冒頭、刑務所でボールを反射して一人キャッチボールをしていたサバントが、刑務所内に侵入してきた鳥にボールをぶつけて絶命させるシーンがあってからの、潜入捜査で板をビート板の要領で逃亡して頭が吹っ飛んだサバントの死体が朝焼けに照らされる中、それに鳥が止まって脊髄あたりをついばむシーンがあるのですが、その鳥っていうのが、最初にサバントがボールをぶつけた鳥と同じ種類だったりするのですよ。

 

 

他にも、この監督特有の『短い時間で、感情を揺り動かす演出』が本当に長けていて、

ラットキャッチャー2が、鼠を呼び寄せるライトを点けながら、幼少時の父親との記憶を思い出すシーンで、泣きそうになりましたよ。

 

客観的に見れば、成人女性がライトを掲げて尋常じゃない鼠を集めているだけなのですが、このシーンが凄く良くて、感情を揺さぶられました。

 

理屈には合わない、感情の動きを体験できるのも、映画の素晴らしさだと私は思う訳です。

 

巨大ヒトデとのバトルシーンも、無線でアマンダから、任務が終わったから戻れの命令に一瞬従うも、踵を返して巨大にヒトデに立ち向かうブラッドスポートは、その瞬間、ヒーローになった訳です。

 

スーパーマンバットマンのように超人的なパワーやテクノロジーを持っていなくても、弱気を助け、強気を挫く気概があれば、誰もがヒーローになることができる。

 

そこに、私の涙腺が刺激されました。

 

この映画は、アウトローではみ出し物の悪党連中がヒーローになる物語と言っていいと思います。

 

最後の巨大ヒトデに操られた人たちは、巨大ヒトデと意識が連動している演出から、多分、絶命したと考えると、結局アメリカって余計なことして、新しい火種を作りがちになるよね、と言った監督の皮肉もあるのかな。と思ったり、思わなかったり、歌ったり、踊ったり・・・。

 

とはいえ、勿論、そんなことを考えなくても楽しめますし、監督ジェームズ・ガン復帰作として、幸先の良いスタートを切ったと思いましたよ。

 

『ガーディアンオブギャラクシー』の続編も楽しみなので、このままの勢いで突っ走っていただきたいと思いました。

 

映画的には、キング・シャークがカワ怖かったり、ウィーゼルの存在が微妙だったり、ポルカドットマンが不憫だったりと色々と語ることの出来る作品でしたよ。

 

でもR15指定とはいえ、はっちゃけ過ぎな部分もあったので、私的にはおススメ度は93となりました。

 

ジェームズ・ガンと言えば、この映画。

リミックスでは、劇場で涙腺が枯れるぐらいに号泣しました。

 

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー 4K UHD [4K ULTRA HD+ブルーレイ] [Blu-ray]

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス (字幕版)

THE INFORMER/三秒間の死角

※映画の内容に触れますので、未見の方はご注意ください。

 

THE INFORMER 三秒間の死角 [DVD]

 

 

あらすじはこちら。

 

英国推理作家協会賞やスウェーデン最優秀犯罪小説賞などを受賞したアンデシュ・ルースルンドとベリエ・ヘルストレムのベストセラー小説「三秒間の死角」を、「スーサイド・スクワッド」「ロボコップ」のジョエル・キナマン、「ゴーン・ガール」のロザムンド・パイクの共演で映画化。模範囚として刑務所で服役中だったピートは、自由の身と引き換えにFBIの情報屋として極秘裏に捜査協力することに。そして、その最後の任務として麻薬組織への潜入を任される。ピートは組織のリーダーから刑務所内での麻薬取引を仕切るよう命令され、競合組織を壊滅させたが、ピートの動きを嗅ぎまわっていたニューヨーク市警の横やりによってFBIに裏切られ、FBI、マフィア、NY市警、囚人たち、すべての組織から命を狙われる危機的状況におちいってしまう。主人公ピート役をキナマン、FBI捜査官ウィルコックス役をパイクが演じるほか、コモン、クライブ・オーウェンらが脇を固める。監督は「エスコバル 楽園の掟」のアンドレア・ディ・ステファノ

2019年製作/113分/G/イギリス・アメリカ・カナダ合作
原題:The Informer
配給:ショウゲート

以上、映画.COMより。

 

監督
製作
ベイジル・イバニク
 
エリカ・リー
 
マーク・レイン
 
ロバート・ジョーンズ
 
ジェームズ・ハリス
 
ウェイン・マーク・ゴッドフリー
製作総指揮
ジョナサン・ファーマン
 
アレックス・ウォルトン
 
オリー・マッデン
 
アンダース・エアデン
 
アンドレア・スカルソ
 
サイモン・ウィリアムズ
 
ジェフ・ライス
 
ガブリエル・ナポラ
 
ヤス・ターラット
 
ローワン・ジョフィ
 
リー・ブローダ
 
ショーン・サングハーニ
 
ビシャル・ルングタ
 
シェリー・ブラウニング
 
ウィリアム・サドラー
 
デビッド・ディナースタイン
 
ジェイソン・レスニック
原作
アンデシュ・ルースルンド
 
ベリエ・ヘルストレム
脚本
マット・クック
 
ローワン・ジョフィ
 
アンドレア・ディ・ステファノ
撮影
ダニエル・カッツ
美術
マーク・スクルートン
衣装
モリー・エマ・ロウ
編集
ヨープ・テル・ブルフ
音楽
ウィル・ブレア
 
ブルック・ブレア
音楽監修
クリス・ピッカーロ

 

www.youtube.com

 

おススメ度  90

 

この映画は何となくレンタルして鑑賞したのですが、とても面白く、楽しめましたよ。

 

 

潜入捜査がバレた警察官が、マフィアに存在がバレて消された場合は、他の警察官に知らせるメッセージとして、遺体から舌を切り取ることをこの映画で知るのでした。

 

それだけでも、普通に怖いと思ったのですが、そのことについては、警察官側も動揺もあまりせずに、日常の一部として処理している感じが一番怖かったです。

 

アメリカの刑務所描写は私にとって、ホラー表現に匹敵するほどの恐怖を感じるのですが、10年以上前に、海外のテレビドラマで『OZ』というアメリカの刑務所に収容された囚人達の日常を描いたドラマがあって、それもホラー映画として見ていました。

この恐怖は、「もし、自分が収監されたらどうなるだろうか。」想像から湧き出る恐怖でもあるのですが、身体を鍛えただけでは、生き抜くことのできない監獄の生活を考えただけで背中がゾッとしてしまう。

そんな訳で2019年に制作された映画の刑務所描写は、『OZ』と同じく、人種やコミュニティによる派閥から発生するパワーバランスによる駆け引き、暴力や殺人、看守に賄賂を渡しての交渉など、ほとんど変わらないのが印象的でしたね。

監督の「刑務所に入ると、こんなに大変な目に合うから、真面目に生活しろよ!!マジで!!!!」というメッセージを勝手に受け取りました。

 

個人的に印象的なシーンとしては、主人公のピートが、姑息なFBIの連中の取引で、愛する家族を守るため、刑務所に潜入捜査をするのですが、そのためには、収監されなくてはいけない。

 

そこで、ピートが自宅で奥さんと淡々と台所のお皿を床に並べて、お互いハグしてからの、奥さんが警察に電話が繋がった後ろで、並べたお皿をバットで叩き割りながら怒鳴り散らすシーンが、凄く悲しくて映画として名シーンだと思いましたね。

 

パトカーが自宅に到着する前に、奥さんが、額に砕けたお皿の破片で切り傷を作る所とか、丁寧な描写が映画のリアリティに一役買っていると感じました。

 

 

この映画の副題にもなっている、三秒間の死角って何ぞや?

って話なんですが、主人公が看守(コイツが潜入捜査の理由になった重要人物。)を後ろから羽交い絞めにして、スナイパーが射撃できるギリギリの場所から様子を伺う。⇒スナイパーが主人公をスナイプする。⇒実際にスナイプされたのは、主人公ではなく、直前に服を交換させられていた看守だった!!!

つまり、主人公と看守が服を交換してわざとスナイプされる場所にまで移動した。この三秒間のことを指していた訳です。

映画の題名である、インフォーマーは、『密告者、スパイ、通知者』という意味なのですが、タイトルでそれだけだとすると、内容がイマイチ分からない部分もあるので、副題の『三秒間の死角』は必要だと思いましたよ。

 

ラストシーンに向けての、公園で子供と奥さんが主人公と会うのを待っているなか、私服警察官が監視している公園から、足早に立ち去る主人公の雰囲気は、ジョン・ウイック的でもあったし、現代のハードボイルド映画にも見えて良かったです。

あえて主人公役に知名度がまだ知られていない役者を起用することも、この映画のリアリティを引き上げている要素になっているのだと思います。

個人的には、この主人公の第二弾の映画も鑑賞してみたいなと思いました。

 

ただ、刑務所で権力を牛耳っている看守ですが、刑務所内では中庭のテーブルの下に、ドライバーや、ハサミを加工した凶器がガムテープで張り付けられていて、ぞれを使用して囚人たちがサバイブしているので、正直この看守だったら、囚人たちが本気だせばいつでも命を奪うことは可能ではないの?て思ってしまったので、おススメ度は90となりました。

 

でも、クズっぷりを見せつけていた看守が、最後主人公から、細いワイヤ―でこめかみあたりを突き刺さされていたので、良しとします。

 

小説もあるようです。

 

三秒間の死角 上下合本版 (角川文庫)

三秒間の死角 上 (角川文庫)

三秒間の死角 下 (角川文庫)

三秒間の死角 上下合本版 (角川文庫)

三秒間の死角 上 (角川文庫)

三秒間の死角 下 (角川文庫)