サマー・オブ・ソウル

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おススメ度 96

 

※パンフレットも、60年代のアメリカの出来事や、アーティストやセットリストの紹介、コラムなど内容が充実してますのでおススメでございます。

 

このドキュメンタリーは、劇場内の予告で知りまして、ミュージシャンのパフォーマンスに圧倒されたので鑑賞しようと思った次第です。

 

映画感想の前にちょっとした話。

映画鑑賞の際は、映画館に少しでも貢献すべく、出来るだけ飲料を購入するマイ・ルールを課していて、大半は自販機からブラックのアイスコーヒーを購入しているのですが、今回、間違えて砂糖・クリーム入りを選択してしまった訳です。

それだけなら、まぁいいか。で済ますのですが、出来たと思って紙コップを取り出すと、何もない空間に液体が発射されているではありませんか。

 

やっちまった。

いつも購入しているブラックコーヒーのタイミングで紙コップを取り出してしまった。

 

今回、砂糖とクリームが入っている分、作成する工程に時間がかかることを想定していませんでした。

結果、手元の紙コップには氷とシロップだけが入っている事となりました。

皆さまも、自販機で購入する際はお気をつけください。

 

注意喚起も終えたので、ここから感想を書くことにいたします。

 

最初に、パッパカパーの音と共に、制作会社のロゴが映りだされたのですが、そこには、『SERCHLIGHT PICTURES』の文字が、この音って20世紀FOXじゃあないの?

と思っていたのですが、この制作会社は、元々20世紀FOXの子会社で、現在はディズニーに買収されてディズニーが『20世紀FOX』の名称を使用しないことになった経緯があるのを知りました。

 

1969年にニューヨーク州ハーレム マウント・モリス公園で6月29日から隔週、あるいは翌週の日曜日の同時刻、6回にわたって無料のフェスティバルが開催された様子が、50年の月日を経て日の目を見ることになる。

 

当時のライブ映像と、当事者のインタビューを交えて編集したのがこのドキュメンタリーとなります。

 

1960年代というキーワードがどれだけ黒人社会に影響を及ぼす出来事があったのか、(米国では、アメリカ系アフリカンと言うのが一般的になりつつあるとも言われています。)ドキュメント内でも解説があったのですが、J・Fケネディ、マルコムx、キング牧師の暗殺、ニクソン大統領の就任、ベトナム戦争の泥沼化、アポロ11号が月に着陸。と、時代の変革と、黒人の人権運動を先導する人物が立て続けに暗殺される異常事態が1960年代だったというのを知ると、ライブに出演しているアーティストの熱量が理解できました。

 

とにかく、フェスに登場するアーティストの気合の入り方が尋常ではなくて、若き日のスティービーワンダーのライブが圧巻でしたね。

 

スティービー・ワンダーと言えば、キーボードを演奏しているイメージがあったのですが、スタンドマイクで歌いながら、ドラムセットに近づいてからのドラムプレイは音楽の才能が溢れ出している感じが最高でした。

 

他にも、スライ&ザ・ファミリー・ストーンのライブパフォーマンスで『シングア・シンプル・ソング』という曲も良かったです。

 

フェスに参加しているアーティスト全員が、ライブバンドとしての実力と人気を兼ね備えているので、見ているだけで楽しめました。

 

このフェスを開催するにあたって、尽力した一人の若者がいまして、その人の逸話だけで映画の題材になるくらい面白かったです。

 

他にも、お金が無くて照明を用意できないので、ステージを西日が当たるように設置したなどの裏話もあったりして、そういう点も楽しめました。

 

何より、このフェスで黒人が置かれている世界を変えるのだという気概が、どのアーティストからも滲み出ていて、50年の月日が経過してもそれが色あせる事がないと感じました。

 

じゃあ何で、こんな素晴らしいフェスが50年の間日の目を見なかったのか?

ということになるのですが、ドキュメント内では明確にはされていませんが、察するに、1969年にウッドストックという大規模なフェスが開催されていたこと、当時アメリカでは盛り上がっていた、アポロ11号が月に着陸した事に対して、ハーレムの住人達は「その費用を福祉に回すべきと。」と否定的な声が多かったことそして、当時は黒人社会に対する差別的な動きがまだ根強くあった事などが背景にあるのではと、思った次第です。

 

しかし、このフィルムを大切に保管していた人がいたからこそ、こうして映画館で鑑賞できたことが、奇跡的な出来事だと思いました。

 

ライブの臨場感を味わうには劇場で見るのが一番いいと思います。

 

ライブ映像としても迫力があり、1960年代のアメリカの歴史やファッションも知ることが出来る、サマー・オブ・ソウルおススメいたします。