『ゴジラ-1.0』

 

 

おススメ度 89

※ネタバレあり。

山崎監督の作品が好きな方にとって、不快に思われる事を書いていますのでご了承ください。

 

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解説

日本が生んだ特撮怪獣映画の金字塔「ゴジラ」の生誕70周年記念作品で、日本で製作された実写のゴジラ映画としては通算30作目。「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズをはじめ「永遠の0」「寄生獣」など数々の話題作を生み出してきたヒットメーカーの山崎貴が監督・脚本・VFXを手がけた。

タイトルの「−1.0」の読みは「マイナスワン」。舞台は戦後の日本。戦争によって焦土と化し、なにもかもを失い文字通り「無(ゼロ)」になったこの国に、追い打ちをかけるように突如ゴジラが出現する。ゴジラはその圧倒的な力で日本を「負(マイナス)」へと叩き落とす。戦争を生き延びた名もなき人々は、ゴジラに対して生きて抗う術を探っていく。

主演を神木隆之介、ヒロイン役を浜辺美波が務め、2023年4~9月に放送されたNHK連続テレビ小説「らんまん」でも夫婦役を演じて話題を集めた2人が共演。戦争から生還するも両親を失った主人公の敷島浩一を神木、焼け野原の戦後日本をひとり強く生きるなかで敷島と出会う大石典子を浜辺が演じる。そのほか山田裕貴青木崇高吉岡秀隆安藤サクラ佐々木蔵之介と実力派豪華キャストが共演。

2023年製作/125分/G/日本
配給:東宝
劇場公開日:2023年11月3日

映画.comより引用

 

人間に明確な殺意を持っているゴジラ、銀座に現れる。

 

映画の冒頭で人間を口に入れながらも遠くに飛ばす光景を見て「ゴジラ、人間を食べないんだ。」とは思いました。


食べた方が自然だと思ったのですが、これは恐竜ではなくてゴジラが人間を捕食する描写が無いというのが理由だと思いますが、少し違和感がありました。

監督を務めた山崎監督の映画については、言いたいことはあります。

『スタンドバイミードラえもん』については、予告編を見た時に、泣かせてやろうという魂胆が心底不快で『ドラ泣き』なんてフレーズを聞いた時は、スクリーンを手刀で切り裂いてやろうかと思ったくらいです。


しかし、知人にはこの映画に感銘を受けている人もいる訳で、その事を直接言う事はありませんでした。


あと思っている事を全部セリフとして役者に喋らせる傾向も見受けられます。

例えですが「暑い!!」「寒い!!」といった状態もセリフにしてしまうイメージなので、山崎監督は映画を観ている観客の事を信用していないのか、あるいは、人間の機微を描くのが苦手な監督だと思っています。


そういう部分はありながらも、この作品は面白かったです。

 

長々と書きましたが、ここからは、飛行機のように両手を伸ばして走りながら「ゴジラ暴れるシーン最高~~。」と言い続ける文章になりますので、ご了承ください。
この映画、言いたいこともありますが、私は断固指示します。


ゴジラが登場した時の圧倒的な絶望感。

 

今回のゴジラは明らかに人間を認識していて敵とみなしているのと、ゴジラの視線が低いので見られている恐怖が常に付きまとう事になります。

その振る舞いは隠れているのび太を必ず見つけるジャイアンの如し。
ゴジラが意志を持って人間を踏みつぶしに来る情け容赦無さは自然災害そのもので、人間の手に負えない絶望感と虚脱感が襲ってくる説得力がありました。

放射熱線を放射する時にゴジラの背びれの部分が下から上へと青く光輝いてから、口から放射する描写が圧巻だったのと同時に「こんな感じで充電を知らせる家電があったな。」と思いました。

今回、銀座と共に国会議事堂も放射熱線で吹き飛ばしたので、銀座一帯は放射能汚染により使用禁止、国家の存亡の危機になるとは思いますが、何故か行政の人間が出てこないのも違和感はありましたが、そういう映画だとして飲み込みます。

個人的には、もっとゴジラが銀座で大暴れしてほしかったです。

尻尾で劇場を壊したりはしていましたが、銀座一帯を焼け野原にしていいくらいに。
せっかくタイトルをゴジラ-1.0と銘打っているのですから、絶望と本当のマイナスを見せつけて欲しかった。放射能熱線の衝撃と、その後黒い雨が降らせるシーンなど、ゴジラが躍動するシーンは全て良かったです。

 

貴方の戦争は終わりましたか。

これは、最後のシーンでヒロインの大石が敷島に言ったセリフなのですが、

貴方の『戦争』の部分は、課題や問題と言い換えると、結局、困難に向き合わないと問題は解決しない。と解釈して、そこは胸にグッときました。
特攻から逃げて来た主人公が、最後ゴジラに戦闘機で特攻をせずにパラシュートで脱出して生き延びた事に対しては、有りだと思っています。

時代設定が戦後間もなくだとしても、制作しているのが現代なのだから、そこは今のメッセージを入れるべきだからです。
ただ、これも飛行機を整備した橘が敷島に「ここを押すと脱出装置が発動して・・・」というセリフを言わせているのが完全な蛇足でした。

しかし、神木隆之介ゴジラに対する憎悪を持った表情は一見の価値がありました。

ゴジラを深海に沈めて一気に急上昇させる戦法も観ていて面白かったし、なにより、ゴジラのメインテーマが掛かるタイミングも最高でした。

何度も書きますがゴジラが暴れて躍動するシーンは全て良かったです。

 

ゴジラの問題を先送りにしたシン・ゴジラに対して、ゴジラと対峙して決着をつけたゴジラマイナス1・0は、庵野監督の問いかけに山崎監督が応えた『アンサームービー』であると思いました。

今回のオススメ度の内訳は、ゴジラが躍動するシーンが2兆点、人間ドラマがマイナス3兆点、ゴジラのメインテーマが流されたタイミングが1兆89点なので、今回のオススメ度は89となった次第です。